たき観光商社が発足 商工会役員ら 観光DMOをサポート 三重
三重県の多気町商工会(多気郡多気町相可)の松浦信男会長(62)=万協製薬㈱代表取締役社長=を代表取締役とする㈱たき観光商社(本社=同町仁田)がこのほど設立された。役員5人が18日午後1時に町役場を訪れ、久保行央町長と宗林孝企画調整課長に事業計画を説明するとともに「町と観光商社、観光地域づくり法人候補DMO(多気町商工会)が三位一体となり、これからの町の観光開発、さらには雇用、定住、全て過疎地域が持っている問題に取り組んでいきたい」(松浦会長)と連携を呼び掛けた。 同商工会は3月に候補DMOに登録、3年以内の地域DMO登録を目指している。同観光商社は、それを側面からサポートするために民間で観光まちづくり事業を遂行しようと、役員5人が出資して11月30日に設立した。松浦さんの他、商工会副会長の杉田直紀・豊栄工業㈱代表取締役社長(53)、商工会理事の田村寿㈱田村建設代表取締役(48)と西井勢津子㈱地域資源バンクNIU代表取締役(51)、商工会会員の中居龍也㈲あ・うん代表取締役社長(44)がそれぞれ取締役に就任した。 たき観光商社の主な事業は▶時代に合った観光まちづくりへ、もっと投資が落ちるまちへ、変化の担い手となる▶観光サービスを推進し、まちのファンと交流人口を創出する▶観光マネジメントを通じて、地域の「稼ぐ力」をサポートする▶交通の要衝としての多気町のエリア再生を通じて、多気で暮らす人々のウェルビーイングに貢献する──の四つ。 具体的には、第1弾として同町多気のJR多気駅前の空き家をリノベーションして民泊や賃貸住宅に再生する。来年度中には運用を開始する予定だ。勢和地域でも同様の構想がある。 また、総務省の「特定地域づくり事業協同組合制度」(地域人口の急減に直面している地域において、複数の事業者の事業に従事するマルチワーカーの労働者派遣事業などを行うための制度)にも意欲を示す。松浦さんは「観光も大事だが、まず人をこの町に持ってこないといけないので、こういう人を集める仕組みもぜひ私どもにやらせていただきたい。人がいつまでも働き続けられ、商店や工場が残る多気町にするため、〝多気町人材派遣組合〟みたいなものを一緒に考えていただきたい」と提案。 「民間にできることはたくさんある」と意気込む松浦さん。「私たちだけで解決できる問題ではないので、ぜひ行政の皆さんと共に観光のまち多気をつくっていきたい」と、町の理解と協力を要請した。
◉観光地域づくり法人(DMO)
地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定し実施する法人。