車重1.5トン以下、スポーティな小型EV登場 アルピーヌ新型「A290」来年納車開始
ラリーカーを連想させるデザイン
アルピーヌ初の市販EVが登場した。小型で軽量なボディに最高出力220psの電気モーターを搭載するホットハッチだ。 ルノー傘下のスポーツカーブランドであるアルピーヌは6月13日、新型EV「A290」を欧州で公開した。欧州価格は3万8000ユーロ(約640万円)からとされ、2025年初頭に納車開始予定だ。 A290は、先行するルノー5 Eテックをベースに、デザインと走りをスポーティに仕上げている。ボディサイズは全長3990mm、全幅1890mm、全高1520mm、ホイールベース2530mm。全長はルノーと同じだが、トレッド幅は60mm拡大され、筋肉質でワイドな印象を与える。 エクステリアとしては、スポットライトの「X字」型モチーフなど同社のモータースポーツの歴史を受け継ぐディテールが盛り込まれている。オーバーフェンダー、サイドスカート、19インチのアルミホイール、ブラックのリアディフューザーも特徴的だ。 外観だけでなく動力性能も強化しており、専用のサスペンション、パワートレイン技術、ブレーキ、タイヤ、サウンドにより「エモーショナルなドライビング体験」を実現するという。 アルピーヌのフィリップ・クリーフ最高経営責任者(CEO)は、A290は「ドライバーにA110を思い出させる」ように作られていると語った。A110は2017年に発売されたスポーツクーペだ。 クリーフ氏によると、エントリーモデルとしての価格設定と都会的なプロポーションから、アルピーヌの主力になるという。「A290はハッチバックであり、シティカーであり、非常に汎用性が高いので、将来のアルピーヌ愛好家の最初のクルマになるかもしれません」
軽量化に注力、航続距離380km
A110と同様、A290も軽量化に重点を置いて開発された。車両重量は1479kgと、ルノー・クリオのハイブリッド車よりも250kgほど軽く、開発ベンチマークとされたミニ・クーパーS Eよりも126kg軽い。モーターとトランスミッションを合わせた重量は100kg以下だという。 リアのマルチリンクサスペンションはルノー5 Eテックと共通だが、専用の油圧式バンプストップとスタビライザーを追加し、「優れた快適性」と「最上級のハンドリング」を追求した。 また、大径のブレンボ製ブレーキディスク(フロント320mm、リア288mm)を装着し、A110のフィーリングを目標にペダルマッピングを調整。ブレーキ・バイ・ワイヤで制御し、回生ブレーキとの「自然」な協調を目指している。 52kWhのバッテリーを搭載し、欧州WLTPサイクルでの航続距離は最長380km。100kWの急速充電器を使用すれば、約30分で15~80%の充電が完了するという。 現時点では4種類のグレードが用意されている。「GT」と「GTプレミアム」では最高出力180ps、「GTパフォーマンス」と「GTS」では最高出力220psのモーターを搭載するが、いずれも前輪駆動だ。 クリーフ氏は、A110のように「R」モデルを導入するかどうかについては明言を避けた。 上位グレードに使用される220psのモーターは、ルノー・メガーヌEテックから受け継がれたもので、チューニングによりトルクを高めている。GTSでは最大トルク30.5kg-mを発生し、0-100km/h加速タイムは6.4秒を達成する。ステアリングホイールには、トルクとパワーを10秒間だけ最大限解放する赤いオーバーテイクボタンもある。