車重1.5トン以下、スポーティな小型EV登場 アルピーヌ新型「A290」来年納車開始
没入感あるドライビング
アルピーヌはサウンドにもこだわった。単に内燃エンジンを再現するのではなく、音響学者の協力を得てモーターの「自然な倍音」に基づいた2種類のドライビング・サウンドを開発したという。 「音は感情の基本です。アルピーヌは没入感のあるクルマを作らなければなりません。ステアリング、スロットル、ブレーキング、そしてサウンドがすべて体験となります。これらは感情を生み出すものであり、アルピーヌがクルマに込めたかったものなのです」とクリーフ氏は語っている。 インテリアでは、10.25インチのデジタル・インストゥルメント・クラスターと10.1インチのタッチスクリーンを採用し、新しいインフォテインメント・システム「アルピーヌ・ポータル(Alpine Portal)」で制御している。 また、ライブデータ、コーチング、チャレンジの各機能を盛り込んだテレメトリクスというプログラムも新たに導入する。 「ライブデータ」モードは、サーキット走行時の車両の敏捷性、パワー、耐久性、ラップタイムに関する情報を表示し、「コーチング」モードは、ブレーキングやドリフトに関するアドバイスを与えるなど、ドライバーのスキルアップを支援する。 「チャレンジ」モードでは、敏捷性、パワー、持久力に基づいてドライバーに複数の課題を与え、達成するたびに新しい課題がアンロックされるというゲーム形式の設計となっている。
アルピーヌの将来像
以下、アルピーのCEO、フィリップ・クリーフ氏とのインタビュー。 ――A290では、アルピーヌのどんな将来を物語っているのですか? 「第一に、アルピーヌが電動化を進めていること。そして第二に、パーソナライズによって電動モデルを楽しめるということです。アルピーヌはプレミアムブランドですから、パーソナライゼーションは重要です」 ――A290の重要性は? 「大量生産が可能である、というのももちろん重要ですが、それ以上にブランドとして新しい第一歩を踏み出すことの方が重要です。アルピーヌは新型車を発売し、人々に受け入れられるようにブランドの構築を目指しています。新しい市場に進出するのであれば、象徴的でスポーティでありながら、よりライフスタイル志向で汎用性の高いモデルラインがもっと必要です」 ――EVを運転するのは楽しいと、人々に納得させる必要があるのですか? 「運転すれば、すぐに納得していただけると思います。EVには多くのチャンスがあり、重量などの問題を解決して、より良いクルマを作ることができます。自動車業界の使命は、常に前よりも良いクルマを作ることであり、EVでもスポーツカーでも同じことができるのです」
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部