温暖なカナダ西海岸、バンクーバーに降る雪 各地で急速に進む気候変動
カナダの西海岸にあるバンクーバー。冬も穏やかで、雪もあまり降らないと聞いていたのに、年末から通常でない寒波に襲われて12月だけで6回も雪に見舞われた。前年はまったく雪が降らなかったというから、随分な違いだ。普段の降雪量が少ないから、政府の予算も準備も足りず、たかだか15センチほど積もっただけでバスが止まったり学校が休みになったりする。冬の厳しいボストンやシカゴで暮らした身からすると、「この程度の雪で?」と驚くが、こんな土地柄では致し方ない。 バンクーバーに限らず、暖冬に冷夏、洪水に干ばつなど、近年世界中で頻繁に異常気象のニュースを耳にするようになった。あまりに度々起こるので、もう「異常」が「当然」のようになってきた感もある。ひょっとすると何十年もしないうちに、夏や冬の季節の境もなくなり、天の気分次第で気温25度の翌日に雪が降る、なんてことが普通になる日がくるかもしれない。そうなるとまともに作物など育たず、野生動物や家畜にも悪影響を及ぼすだろうから、食糧事情は極度に悪化するだろう。 これまで約10万年のサイクルでゆっくりとおこってきた気候変動が、今や急激なスピードで進んでいる。バスが止まったり、休校になったりというレベルの話ではない。温暖化は、人間、そして地球上の生命すべてに関わる問題なのだ。 (2016年12月撮影) ※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォト・ジャーナル<地球温暖化のいま>」の一部を抜粋したものです。