大の里が“横綱魂”注入され「ありがたい」元稀勢の里の二所ノ関親方の胸借り7分間ぶつかり稽古
大相撲の新大関大の里(24=二所ノ関)が「横綱魂」を注入された。大関デビューとなる九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)に向けて本格的な稽古を開始。福岡市西区の部屋で12番、その後に師匠の二所ノ関親方(38=元横綱稀勢の里)の胸を借り、約7分間のぶつかり稽古で砂まみれになった。さらに先の番付を目指す今場所。師匠の熱い思いを肌で感じた。 ◇ ◇ ◇ 新大関が土俵に転がされ、砂にまみれた。大関ともなれば、ぶつかり稽古でいわゆる「かわいがり」は珍しいが、大の里は昨年夏場所に初土俵で今場所がまだ10場所目。師匠の二所ノ関親方自らが胸を出し、約7分間もの「特別授業」で横綱の力を教え込んだ。 「なまった体を戻していく上で(師匠の胸出しは)ありがたい。(初日まで)限られた時間しかないので。今日からしっかり場所に向けて仕上げていきたい」 秋巡業を「アデノウイルス感染症」による体調不良で17日に離脱。稽古不足を実感していた。「相撲は久々ですね」と大の里。十両の白熊らと12番で9勝3敗だった。週明けには二所ノ関一門の連合稽古にも参加し、ここまでの遅れを取り戻す考えだ。「ふがいない姿を見せないように。稽古不足のところもあるので、いいものをつかめれば」と前向きに語った。 昨年の九州場所は東十両5枚目で12勝3敗の好成績をあげ、翌場所の新入幕を決めた。今年は幕内で2度の優勝を含め、名古屋場所を除いてすべて2桁勝利の大活躍を見せてきた。 「1年締めくくりの場所。1月場所から(幕内で)やってきたので、いい形で締めくくりたい。今まで通り思い切ってやるだけ。稽古をしっかり頑張りたい」 すでに2度の幕内最高優勝を飾った大器には「次代の横綱」の期待が高まる。今場所、優勝すればその足がかり。期待を込めて師匠も裸になって胸を出した。「(場所前は)よく胸を出していただける。本当にありがたい。力になります」。番付の頂点を目指し、力強く踏み出した。【実藤健一】 ◆大の里躍進の24年 新入幕の今年初場所、西前頭15枚目で11勝4敗、敢闘賞を受賞した。続く春場所は西5枚目で11勝4敗の敢闘賞、技能賞。夏場所は12勝3敗で初優勝を飾り、殊勲賞と技能賞を獲得した。名古屋場所では9勝6敗も優勝した横綱照ノ富士に勝利し殊勲賞。秋場所は13勝2敗で2度目の優勝を飾り、敢闘賞と技能賞を獲得。場所後に大関昇進を決めた。今年はここまで56勝19敗、優勝2回、敢闘賞3、技能賞3、殊勲賞2と角界の顔になった。