米メタ、ファクトチェック廃止 SNS最大手が大転換 トランプ氏との融和狙う
【ラスベガス時事】米メタ(旧フェイスブック=FB)が7日、外部機関によるファクトチェックを廃止すると発表した。 利用者30億人を超えるSNS最大手の大きな方針転換からは、同社の投稿管理を批判してきたトランプ次期大統領との融和を図る狙いが透けて見える。今後は利用者がこの役割を担う形になり、投稿への制限も緩和されるが、偽情報や憎悪表現が広がることも懸念される。 ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「自由な表現について、われわれのルーツに立ち返る時だ」と述べた。X(旧ツイッター)が先行して採用する、利用者が真偽の疑わしい投稿に注釈を付ける「コミュニティーノート」のような仕組みをまずは米国で数カ月かけて導入する。 ファクトチェックの仕組みは、2016年の米大統領選で偽情報が氾濫したことへの批判を踏まえ、導入。規則に抵触する投稿に対して削除やアカウント凍結といった措置を取ってきた。ザッカーバーグ氏は、運用の中で判断の誤りや行き過ぎがあったと説明した。 ザッカーバーグ氏は「政府や伝統的なメディアが『検閲』を強く求めてきた」とも批判。メタはイスラム系少数民族ロヒンギャに対する憎悪表現の拡散などを巡って責任を問われ、批判に応える形で投稿管理を厳格化してきた。 だが、トランプ氏の大統領返り咲きが決まったことで潮目が変わった。トランプ氏は、21年の連邦議会襲撃事件をあおったとして自身のアカウントを凍結したメタに対し、猛烈な「検閲」批判を展開。ザッカーバーグ氏を刑務所に送るとも発言した。 メタは状況打開のため、渉外担当社長に共和党系人材を昇格させ、取締役にトランプ氏支持を公言する総合格闘技団体「UFC」のCEOを招いた。ファクトチェック廃止も、トランプ氏との緊張関係を緩和する一手だったもようだ。