道警でまた不祥事 元最高幹部「『事件でっち上げ』体質変わっていない」
「信頼関係」が「共謀関係」に変わる?
「組織として、情報収集と管理の問題が何ら解決されていないことも明らかになった」。原田氏は今回の事件にこうした角度からもメスを入れる。「『警察捜査の正体』(講談社現代新書)にも記しましたが、捜査情報の漏えいなどが後を絶たない理由には、警察組織の古くて新しい問題が内在している」と言う。 「道警裏金問題」が公になる以前、情報提供の謝礼としてSに渡される捜査費は上層部のヤミ手当などに費消されていたが、2004年以降、捜査費は現場の捜査員に渡される仕組みに改まった。正規に捜査費を請求する際にはSの住所、氏名、捜査費の金額、支出理由などを文書に記すことが求められる。 だが、「情報源を秘匿したい捜査員や実績で同僚を上回りたい捜査員、毎年のように代わる幹部を信用できない捜査員の中には、Sとの信頼関係を優先して捜査費を請求しない警察官も少なくない」と明かす。「その信頼関係がいつ共謀関係に変わるかは本人ですら予想もつかないはず」と強調する。仮にSの存在を報告していた場合でも、現状では管理が徹底されているとは言いがたい、とも。 果たして不祥事根絶の対策はあるのだろうか。原田氏は言う。 「いわゆる『稲葉事件』(2002年)の後、銃器や薬物対策の幹部、捜査員は陣容が一新されましたが、根本からの解決には至りませんでした。今回もショック療法的な人事は行われるでしょうけれど、道警が抱える闇は根深いと思っています」