衆院選、戦後最短決戦に向け急ピッチで準備 立候補予定者や各地の選挙管理委員会
衆院が9日午後の本会議で解散され、事実上の選挙戦が始まる。衆院選の日程は15日公示、27日投開票。石破茂首相の就任から解散、投開票まではいずれも戦後最短となる。短期決戦の中、立候補予定者らは自身の政策や主張をいかに浸透させるか苦心し、各地の選挙管理委員会は急ピッチで準備を進めている。 ■急遽（きゅうきょ）出馬決定 9日朝、兵庫県尼崎市の阪急塚口駅前でマイクを握ったのは、日本維新の会から兵庫8区（同市）に初挑戦する県議の徳安淳子氏（62）。「支援者でも自分が衆院選に立候補するということを知らない人が多い」と危機感を募らせる。 公明党現職のいる関西6選挙区に候補を立てる維新。中野洋昌氏（46）が議席を守ってきた兵庫8区には、参院議員の清水貴之氏（50）がくら替え出馬する予定だった。 だが、兵庫県議会から不信任決議を受けた斎藤元彦前知事（46）が9月に失職。清水氏は今月末に告示される知事選に立候補する意向を示し、急遽（きゅうきょ）、徳安氏の衆院選出馬が決まった。 同市選出で県議5期目、副議長も務めた徳安氏。経験豊富で地元での知名度もあるが、「本当にタイトなスケジュール」と厳しい実情を明かす。 相手は長らく選挙区を守ってきた公明とあって「後援会の方から『よくそんな無謀な決断をしたね』という意見もいただくが、頑張れという声もたくさん頂戴している」といい、「後には引けない。やるからには全力で頑張る」と意気込んだ。 当初、衆院選は11月投開票との見方もあった。大阪で自民党から立候補予定の元職は「あまりにも準備期間が短すぎる」と嘆く。選挙戦で使うチラシなどについて、「党本部の公約発表を待っていたら間に合わない。一部を訂正するだけで対応できるよう準備を進めた」と明かした。 ■トリプル選も 大阪府阪南市では、任期満了に伴う市長選が27日投開票の予定だった。そこに衆院選と府議補欠選が重なって「トリプル選」となり、市選管では準備を急いでいる。 同市選管によると、市長選の日程は4月に決定していた。一方、石破首相が衆院選の日程の方針を示したのは9月30日で、市長選と比較すると準備期間は圧倒的に短い。以前から解散時期についてはささやかれていたものの、「業者委託などの対外交渉は日程が確定しないとやりようがない」（担当者）という。
市内約150カ所に3選挙分のポスター掲示場を準備する必要があるほか、人員確保もさらに進めなければならず、「かなり無理な事務となっている」（同）と慌ただしそうに話した。（藤崎真生、藤木祥平）
