統率力=リーダーシップ?統率力を活かして力を発揮し続ける方法を紹介
リーダーに必要とされるスキルの一つが「統率力」。将来のために統率力を磨きたいと考えるビジネスパーソンがいる一方で、統率力とリーダーシップを混同している人も少なくないようです。この記事では、統率力の意味と今の時代に求められている理由、そして効果的な鍛え方などについて、株式会社人材研究所代表で、組織人事コンサルタントの曽和利光さんに伺いました。
統率力とは?リーダーシップとの違い
「統率力」とは、自ら先頭に立って組織やチームをまとめ、目標達成に向けて皆を引っ張っていく力のことを指します。企業の成長を支えるリーダーやマネージャーには必要不可欠のスキルと言われています。 若手ビジネスパーソンの中には「統率力=リーダーシップ」と捉えている人がいるようですが、実は統率力はリーダーシップの1要素です。 リーダーが取るべき行動理論の1つに、「PM理論」というものがあります。この理論では、リーダーシップを「P(Performance=目標達成機能)」と「M(Maintenance=集団維持機能)」の2軸で定義していて、PとMそれぞれの強さによってリーダーシップのタイプを分類しています。 P(Performance)が強いリーダーは、牽引型のリーダーシップを持ち、目標達成や成果を上げるために、組織やチームを取りまとめながらグイグイと率いることができます。これがいわゆる「統率力」に当たります。 一方、M(Maintenance)が強いリーダーは、感情配慮型のリーダーシップを持っています。メンバー一人ひとりを気遣い、チームワークを維持しながら皆の気持ちを一つにまとめる力を持っています。
統率力は、今の時代に必要とされるスキル
前述のP(Performance)とM(Maintenance)をバランスよく有している人が、目標達成能力と集団維持能力を併せ持つ「理想のリーダー」とされています。 しかし、変化が激しい今の時代においては、P型の統率力がより求められる傾向にあります。 企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、かつ先の見えづらいVUCAの時代と言われる今、企業の存続や事業成長のため、経営の軸を大きくピポット(方向転換)したり、組織体制を抜本的に改革したりする企業が増加しています。そういう変化の多い時期には、皆をまとめつつ同じ方向に向かって走らせることができる、統率力のあるリーダーが必要なのです。 経営方針や事業方針が大幅に変わると、急な変化についてこられなかったり、反発したりする人がどうしても一定数出てきますが、そういう人たちを「右向け右」と引っ張りながら走り続けられる統率力あるリーダーこそが価値を発揮します。 一方、経済も企業業績も安定的に成長している、いわゆる「平時」においては、牽引型リーダーシップである統率力よりも、感情配慮型のリーダーシップのほうが求められる傾向にあります。平時においては、皆が同じ方向に向かって走るよりも、一人ひとりが自発性を発揮できるよう環境を整備することで創造性を引き出せるリーダーのほうが向いていると言えます。