【中学受験のカリスマ家庭教師が教える】本命合格のカギ!“本命前受験校”を決めるための鉄則
小学6年生にとってはいよいよ入試直前期にはいってきました。どのようにして最終的な受験校を確定するのか、きわめて大事なこの時期をどのように過ごせばよいのか……。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」、直前期の過ごし方までを、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。 ● 「本命前受験」は進学対象かそうでないかで変わる 2月に第一志望がある子の多くが、1月に“本命前受験”をします。本命前受験は、その学校が「進学対象である場合」と「進学対象でない場合」とで考え方が異なります。 ● 「本命前受験」が進学対象である場合 本命前受験校が第二志望、第三志望の場合、初めての本番ということも相まって子どもは緊張しています。第一志望の過去問の最終仕上げの時期とも重なりますが、本命前受験校の本番数日前からはその学校の過去問にシフトします。残しておいた最新年度の過去問を解く、あるいはすでに解き終わった過去問を見てP.180でお話しした「目標点数」「時間配分」「〇×△(問題の選別眼)」をきちんと確認しておきます。 この位置づけの学校の難しいところは、合格すると子どもは気を緩め、不合格だと落ち込んで自信をなくすことです。ただ、本命入試までまだ2週間近くもあります。どちらであっても十分態勢を立て直せます。 ● 本命前受験校が進学対象でない場合 本命前校に合格しても進学しない場合は、模試としての意味合いが強くなります。その場合は、できるだけ「得点開示のある学校」を選びましょう。なぜなら、各科目の手ごたえと実際の点数がどうだったかを分析する必要があるからです。 試験問題は、学校によって持ち帰りOK、持ち帰りNG、会場に掲示された問題の撮影ならOKなど様々です。また、大手塾ではその問題の答えを塾生向けに公開するところもあります。可能な限り問題を入手し(できない学校もあります)、その手ごたえと実際の点数に乖離があるならば、どこで点数を落としたのか、問題を振り返らせましょう。 学校によっては、同じ受験料で何度も受験ができたり、点数や順位を細かく出してくれたりと、模試さながらの機能を果たしてくれることもあります。2月に東京・神奈川の難関校を受験する生徒が1月受験校として選ぶ、「栄東(埼玉県)」はまさにその典型で、自分の点数や全体の中の順位だけでなく、難関大あと何点で東大特待合格だったかまで教えてくれました(2025年より入試形態に変更あり)。 プレッシャーに弱いお子さんの場合は、実力よりもかなり落とした確実に合格できる学校を選び、「8割取ってこよう!」とハッパをかけプレッシャーに耐える練習をさせましょう。ここで合格を取ることで、大きな自信となり「意外にプレッシャーに強いじゃん!」と暗示をかけることができます。 逆に、「どうせ行かない学校だし」という気持ちが受験生の中にあると、全く緊張せずに入試が終わってしまい、本命前受験の意味がなくなる場合もあります。前日、当日の朝もそのような状態の場合は、敢えて緊張するようにプレッシャーをかける必要があります。 ● 緊張状態で何が起きるのかを見る 1月受験には「場慣れ」の意味合いもあります。緊張状態で何が起きるのか。お腹が痛くなるのか、ミスをするのか。そんなことが自分でわかるだけでも、本命前のプラスになります。 A君は普段の模試ではほとんど緊張せず、第一志望の「海城」の過去問も1月に入って正答率が7割を超えるようになってきました。本番にピークを持ってくることが大切ですので、「良い感じに仕上がってきた」と安心していました。 ところが、1月の「佐久長聖(長野県)」の東京会場受験ですさまじく緊張し、最後の科目では腹痛がひどく、ほとんど集中できなかったそうです。そこまで緊張するとは本人も親御さんも思っておらず、「もうダメだ。絶対落ちた」と落ち込んでいました。 結果は合格だったのですが、第一志望でそこまで緊張しては実力を発揮できないため、1月中にもう1校「千葉日大第一(千葉県)」を受験してもらいました。こちらは緊張しなかったようで、「どうして緊張しなかったと思う?」と聞くと、「校舎が新しくて、木のいい匂いがして、教室が明るかった」とのこと。親御さんに「すぐ、ヒノキ玉でも何でも良いので買ってください!」とお願いしました。 ところが2月1日の本命の日の朝、激励に行くとすさまじくこわばった顔で校舎に入っていき、その緊張状態は1日午後にも影響しました。2月1日の教室は「暗くて廊下側」だったとのことで、2月3日の海城2回目のリベンジで「次はきっと窓際の席だよ!」と励ましたのですが、何と前回と全く同じ席だったそうです。 これはもう「ご縁がなかった」というしかなく、結果は不合格でした。 本番にピークを持ってくるように指導しても、本番はどこまで緊張するか、本人にも周囲にもわかりません。繰り返しになりますが、1月入試は緊張状態を経験することも目的なので、お子さんには「模試の代わりだから」「試験に慣れるためだから」などとは言わないようにしてください。 *本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。
安浪京子