子どもの不登校をAIで予測! 埼玉県戸田市が実証実験した結果は?
AIが判定したデータは、経験の少ない教師をサポート
――AIなどのテクノロジーを教育の現場に導入することで、どのようなメリット・デメリットがあると思いますか? 秋葉:繰り返しになりますが、AIが判定したデータはあくまでも表面的な数値で、データをもとに支援が必要かどうかを考え、実際に行動するのは現場の先生方です。不登校AI検知システムはあくまでツールなので、そこの数字にとらわれ過ぎないようにしてほしいですね。
秋葉:とはいえ、日々たくさんの仕事を抱えている先生にとって、こういったテクノロジーの導入はさまざまな視点から児童・生徒の様子を知る上で、サポートするのに大きく役立つのではないでしょうか。 これまで経験則だけでしか語られなかったものが、データを通して見えてくるということは、経験の少ない若い先生が全国的に増えていることもあり有用だと思います。 ――不登校で悩む子どもや親を増やさないために、学校や家庭以外の関わりの中でできることはあるのでしょうか? 秋葉:そういった子どもや、親御さんの選択肢を増やすことではないでしょうか。 学校教育を受けないことで、先々の進路への不安や、社会に出たときに周囲の人たちと協調できないなどの難しさもありますから、支援の幅を持たせる意味でも、学校以外にも学びの場や居場所をつくっていけたらと考えています。 学校でうまくいかなかったとしても、いろいろな才能や得意分野を持っている児童・生徒がたくさんいます。私たち大人が先に立って、一人一人の才能が磨かれ、活躍できるような社会をつくっていくと同時に、不登校以外の児童・生徒たちにも多様性を認め合うことの大切さを伝えていきたいと思います。
編集後記
「教育現場にAIを導入する」と聞くと、子どものことを機械任せにするイメージを抱く人もいるかもしれませんが、あくまでも補助ツールであり、やはりマンパワーによって成り立っているのだということがよく分かった取材でした。 重要なのが「戸田市は学校以外の学び場を用意した上で、不登校予測AIを活用している点」です。「不登校をなくすのではなく、不登校になった子どももしっかりと取り残されないよう公教育で支援しよう」と、している点がとても先進的だと思いました。 また、戸田市には日本財団が注力している「子ども第三の居場所」の第1号施設があります。 こうした子どもの未来を考える自治体が増えていくことを、心から願います。
日本財団ジャーナル編集部