子どもの不登校をAIで予測! 埼玉県戸田市が実証実験した結果は?
秋葉:不登校といっても、いじめや人間関係だけでなく、授業についていけない、外国籍で日本語が話せないため友達ができない、家庭環境に問題があるなど、原因は本当にさまざまで、少しずつ学校に来なくなるお子さんもいれば、ある日ぱったり来なくなってしまうお子さんもいます。 学校側では保護者とも相談しながら、一人一人に合わせて細やかに対応すること、そして子どもたちとつながり続けることを大切にしています。 ――今回のテーマである「不登校予測AI」は「科学する」にあたるものですね。 秋葉:そうですね。もともと2022年度からデジタル庁の「こどもに関する各種データの連携による支援実証事業」の公募があり、戸田市ではデータを収集して活用しようと動いていました。 2023年度にこども家庭庁に移管した後も、「こどもデータ連携実証事業」の採択団体となり、2023年秋頃に不登校予測モデルの運用開始に目処が立ち、実証実験が始まりました。 ――では、不登校予測AIは「不登校になりそうな子ども」をどうやって予測するのでしょうか? 秋葉:2022年度における「出欠・遅刻・早退などの状況」「保健室利用状況」「埼玉県学力・学習状況調査」「学校生活に係るアンケート」「教育相談の利用の有無」など、500項目にわたるデータを収集して、AIの機械学習を活用して「不登校予測モデル」を作成しました。 収集したデータをもとに一人一人の不登校リスク判定を行います。判定結果や収集したデータの分析結果等は、利用する校長・教頭が理解・活用しやすくするためにダッシュボード(※)を作成しました。 もともと各学校でシステムに入力していた出席データなどをダッシュボードへ連携するのも市の教育委員会で実施しており、教師の業務が増加するわけではありません。 ※複数の情報をひとまとめにして表示するツールを指す
予測精度は高い。問題はランニングコスト
――では、「不登校リスクが高い」と判定された場合、どのような対応をされるのでしょうか? 秋葉:ダッシュボードを閲覧できるのは、各学校の校長や教頭といった管理職に限定しています。まずは管理職を通して担任教師に確認した上で、声かけを増やす、保護者と連絡を取り合うなど、一人一人の子どもに合わせた対応を行っています。また、ダッシュボードを操作すると過去のデータも見られるので、そちらも参考になるかと思います。