諏訪家の「源氏物語」写本活字化プロジェクト始まる 長野県諏訪市博物館
長野県諏訪市博物館(同市中洲)所蔵の高島藩主諏訪家に伝わる「源氏物語」写本全54冊の原文を活字化(翻刻)するプロジェクトが始まった。一般の協力者を募り、諏訪家本の翻刻を作成し、資料としての価値付けにつなげていく。今年放送された作者の紫式部が主人公の大河ドラマ「光る君へ」の影響もあり、県内外から56人が集まった。 同館によると、諏訪家本は室町後期~江戸初期に作られたものとみられる。源氏物語は原本が残っておらず、人の手で書き写したものが読み継がれてきた。書き写す作業の中で、文字や言葉が変わってしまった箇所もある。 そこで、協力者におよそ1冊分の諏訪家本の写真データと該当部分の他本の翻刻資料を、各自1字ずつ照らし合わせて異なる箇所を書き込んで提出してもらい、それをまとめて翻刻を作成する。写本には系統がいくつかあり、活字化して諏訪家本がどの系統に属すか判断したい考えだ。 21日に説明会を同館で開き、写真データと翻刻資料を協力者に渡したほか、学芸員が活字化の目的や作業の流れ、諏訪家本のことなどについて解説した。大学で日本文学を学んでいたという東京都の会社員の女性(31)は「大河を見て久しぶりに源氏物語を読み直していたので、ぜひやってみたいと思った。楽しみながらくずし字を勉強したい」と話していた。 今後は、来年3月下旬までを目安に、各自で作業を進めてもらう。また、2月から6月まで「みんなで読む会」を毎月同館で開き、1人で読み進めるのが難しい人に参加してもらい、最終回は全員参加で読み合わせや感想発表をする予定という。