莫越山(なこしやま)神社でお神酒の瓶詰め 「やわたんまち」で鶴谷八幡宮に奉納(千葉県)
南房総市沓見(くつみ)の莫越山(なこしやま)神社(齋東清道宮司)の醸造殿で13日、神酒醸造神事で造られた神酒の瓶詰め作業が行われた。 1300年ほど前から続くとされる神事。「神酒造り神事」として、市指定無形民俗文化財になっている。神社による清酒の醸造は、莫越山神社と、伊勢神宮(三重県)、出雲大社(島根県)、岡崎八幡宮(山口県)の全国4カ所だけが行っているという。 神酒は、例年、安房国司祭「やわたんまち」で、館山市の鶴谷八幡宮の神前にささげられており、今年も14日の六所祭で奉納される他、神輿(みこし)の担ぎ手らに振る舞われるという。 醸造には、沓見地区で栽培された「コシヒカリ」39キロを使用。8月3日に氏子らが仕込みを始め、麹(こうじ)や神社の井戸水を加える「酛立(もとたて)」を実施。10日には、さらに米、水、麹を足す「掛(かけ)」を行った。 絞り出しは9月12日から丸1日かけて行われ、13日はたるにたまった神酒を、白い作務衣(さむえ)に身を包んだ氏子らが瓶に詰めていった。ひしゃくとじょうごで丁寧に注ぎ入れ、わらでふたをし、千葉東税務署の職員らが計量。一升瓶(1・8リットル)41本余りの約74リットルの神酒が出来上がった。 アルコール度数や比重などを分析、鑑定する東京国税局課税第2部鑑定官室の戎(えびす)智己室長が試飲。「酵母が健全に発酵し、全体に回っている印象。アルコールもしっかりと出ている。酸味がほとんどなく、辛口ですっきりした仕上がり」と講評した。 齋東宮司は「今年も暑さが厳しく、管理にも気が抜けなかったので、良い仕上がりにホッとしている。あとは、2日間の祭りの無事を願いたい」と話していた。