化粧水は「実は手作りがベスト」である科学的な理由~「化粧水のつくりかた」を化粧品開発者が伝授~
肌の「うるおい」「透明感」とは何か? どうして何種類も液体をつけるのか? ――。 こうしたスキンケアの疑問に、独自の高級化粧品を研究・開発してきた尾池哲郎氏が新著『美容の科学』で科学の視点から答えています。 本稿では、同書より一部を抜粋しお届けします。 ■防腐剤の怖さ じつは化粧水は、化粧品の中でもっとも腐りやすい商品です。粘度が低い(水の状態である)ため、腐敗を起こす菌が栄養成分を求めてあちこち自由に動き回ることができるからです。
基礎化粧品は化粧水、美容液、美容クリームとおおまかに分類されていますが、美容液はジャムのように濃度を高くして腐りにくくしています。クリーム(エマルジョン)も本来は防腐技術(保存技術)として利用された技術です。 そのなかで化粧水は水分率が高くて一番腐りやすいため、防腐剤の配合量が特に多くなります。中には防腐剤である「フェノキシエタノール」のにおいしかしない化粧水もあるほどです(フェノキシエタノールは信頼のおける防腐剤ですが、多すぎると当然刺激性があります)。
他にもエタノールやBG(ブチレングリコール)などの防腐効果を持つ成分がよく配合されています。日本人はエタノールアレルギーを持つ人が少なくありません。BGは保湿と説明されることが多いですが、実質は防腐成分として配合されているケースがほとんどです。 洗顔後の肌は防腐剤・低分子アレルゲン・アルコールを吸収しやすくなっています。やや過激な表現ですが、そうした防腐剤の配合量が多い化粧水をつける行為は、防腐剤をつける行為とほとんど等しいことになってしまいます。肌細胞だけでなく、常在菌まで損なわれます。
しかも注意すべきは、保湿成分や栄養成分の高配合をうたっている化粧水ほど、必ずそれ相応の防腐剤が配合されていることです。 さらに注意していただきたいのは「防腐剤不使用」をうたっている化粧水です。薬機法に定められた防腐剤「だけ」を不使用にすることで、まるで「防腐剤不使用」であるかのように表現しているケースが多いからです。たとえばワサビエキスなど防腐効果を持つ天然成分は無数にありますが、薬機法では防腐剤に指定されていません。防腐剤不使用をうたう化粧水にはそうした安全性を担保できない天然防腐剤を使用しているケースが多く、アレルゲンとなる可能性もあり危険です。よほど信頼のおけるメーカー以外の「防腐剤不使用」化粧水は使うべきではありません。