智弁和歌山で甲子園出場→米・ハワイ大で目指すメジャーリーグ…二刀流・武元一輝(20歳)が海外進学を決めた「中谷監督からのアドバイス」
学業も野球も、日米で大きな差
米国留学にあたり一役買った関係者が言う。「武元くんのおおらかな性格は日本で育てるより米国の方がより向いているんじゃないかと思うんですよね。大きく育ってほしい。だから中谷監督さんは米国へ送り出したんじゃないでしょうか」 とはいえ、日本で生まれ育った19歳が、大学からいきなり米国生活を送るのは簡単なことではない。言い伝えられている基本的なことだが、米国の高校、大学でスポーツを続けるには学業で成績を残すことが最低条件。その壁を乗り越え、野球部でプレーすることを許されることとなったが、野球でも日米では大きな違いがある。彼も頭を整理するには少し時間がかかった。 「言葉や文化の違いに加えて、野球のプレースタイルも大きな違いでした。日本ではひとつのプレーを追求し時間をかけることが重視されますが、アメリカではミスに対してポジティブに捉える。ミスは起こるものと割り切った上でポジティブに捉えて次のプレーへと切り替えていきます。両方いいところがあるとは思いますが、アメリカは小さなミスを気にしないため、日本の方が繊細さを感じます。この違いに順応するのに苦労しましたが、両方のいいところを取り入れながら、『自分の野球』を追求していきたいです」 20歳にしてこの言葉。高校卒業後、単身で米国に渡り得た経験と苦労は、必ずや彼の野球人生において糧となるだろう。
イチローさんからの“忘れられない言葉”
その武元には高校時代に得た大きな財産がある。母校にイチローさんが訪れ、指導してくれたときのことだ。28年間の現役生活で世界最多となる日米通算4367安打を放ち、メジャーでは走攻守にわたり19年間トップを走り続けたレジェンドから贈られた言葉が心に刻み込まれている。 「イチローさんからは『もし人生でふたつの選択肢があるなら、楽な方より厳しい方を選んでほしい』と言われました。野球への姿勢、立ち姿、雰囲気、振る舞い方。すべてが卓越されていて、言葉ひとつひとつに重みがあり、イチローさんのような人になりたいと感じました」 米国のドラフトで大学生の指名は21歳から。25年6月が武元にとっては最初のチャンスとなる。来季、彼にはこれまで以上の大きな飛躍を期待し、夢を叶えてもらいたい。
(「メジャーリーグPRESS」笹田幸嗣 = 文)
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