「古い自民党」に舞い戻る岸田文雄内閣の「反改革」
(C)paparazzza / Shutterstock.com
「官業」に斬り込んできたヤマトグループが、長年の宿敵だった日本郵政グループと協業に踏み切った。ヤマト運輸が取り扱ってきた「クロネコDM便」のサービスを2024年1月31日に終了、日本郵便の「ゆうメール」に事実上集約する。2月からヤマト運輸でのサービスは「クロネコゆうメール」として引き受け、日本郵便の配送網で届けることになるという。さらに、ヤマトの「ネコポス」のサービスも順次終了して、「クロネコゆうパケット」として日本郵便の配達網で届けるという。 「クロネコDM便」と「ネコポス」は2015年に廃止に追い込まれた「クロネコメール便」の後継サービスだった。メール便は、受け取りの印鑑が不要で個人宅のポストに配達されるサービスで、法人のカタログやパンフレットの配送で大きなシェアを獲得していた。郵便の定形外料金と遜色ない価格になっていたことから、日本郵便の大きな脅威となっていた。 これに当時、横槍を入れたのが総務省だった。メール便に手紙などの「信書」を同梱する郵便法違反が相次いでいると指摘されたのだ。郵便法では原則として日本郵便以外の業者が信書送達事業を行ってはならないとしている。手紙などをメール便に入れた場合、ヤマトだけでなく、委託した客も罪に問われる可能性があるとされたのだ。3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられるおそれがある、というのである。「さすがにうちが罰せられるならともかく、お客様まで処罰の対象だと言われたら、サービスを諦めざるを得ませんでした」と当時の幹部は回顧する。
本文:3,316文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
磯山友幸