マイワシの資源管理を評価 北海道内外の4社にグッドデザイン賞
北海道広尾町の水産加工会社「池下産業」が中心となり、道内外の4社で取り組む「北海道マイワシ漁業改善プロジェクト」が、2024年度のグッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会主催)に選ばれた。マイワシの資源管理を通じて持続可能な漁業を目指す試みが、「地域の取り組み・活動」部門で高く評価された。【鈴木斉】 池下産業は主にマイワシを原料に、養殖魚の餌となる魚粉などを製造。乱獲などの影響で1990年代にマイワシの資源が激減した教訓から持続可能性を担保した生態系や環境に配慮する水産業を目指し、巻き網船でマイワシ漁を行う浜平漁業(静岡県沼津市)などと2021年からプロジェクトを開始した。 プロジェクトは総合商社の兼松(東京都)と、コンサルティング会社のUMITO Partners(同)も加わり、浜平漁業の道東沖での漁獲データを収集し、マイワシの資源状況や周辺の生態系に与える影響などを解析。4社は、一連の取り組みで25年度中にも、持続可能な漁業を証明する国際認証となる海洋管理協議会(英国)の「MSC認証」取得を目指している。 グッドデザイン賞で、池下産業が「レボフィッシュ」と名づけた独自の冷凍加工技術も評価された。レボフィッシュのシンボルマークを制作し、プロジェクトも支援するデザイン会社ファームステッド(帯広市)の長岡淳一社長は「グッドデザイン賞は人や社会、未来を豊かにする有形無形のあらゆるものが対象。漁業者らの取り組みが社会的に認知された」と喜んだ。 受賞を受け、帯広市内で1日にあった記者会見で、池下産業の池下藤一郎社長は「マイワシの漁獲は昭和後半にピークを迎え、乱獲などで、その後とれなくなった。最近は資源管理で安定してきているが、同じ経験はしたくないという危機感が我々にはある」とプロジェクトの必要性を強調。「評価されて大変うれしく思う。今回の受賞で、取り組みの意義に少しでも関心を持ってもらえれば」と話した。