クルマ元窃盗犯が衝撃の告白!「カギ開けテクはJAFで学ぶ」「指令は海外から」「自動車窃盗はチョロい」
■海外から車種、台数、期限を指定した指令が来る
旧車の場合は多くが米国に行くと思われるが、実は米国はこの数年で州によっては日本車の旧車への輸入と登録ルールが格段に厳しくなっており、UAEから第三国に流れるパターンも増えている。 4年前のちょうど今頃、日本で盗まれた20台ほどの旧車スポーツカーが米国ヴァージニア州にある「J-Spec Auto Sports Inc.」で販売されていたことが発覚し、日米のSNSで大変な騒ぎとなった。 筆者が自動車盗難の取材に注力するようになったきっかけでもある。この時は、現地の警察(ヘンリコ警察)の捜査担当者とも夜中に話をしたり、J-Specの責任者のような立場の人とも話をしたりしたが、結論から言えば1台も1部品もオーナーのもとには帰ってきていない。 また、2022年3月には米国で約400台(車台番号データあり)の日本車が違法に登録されていたことが発覚し、ふたりのブローカーが逮捕されている。400台のなかに盗難車があったかどうかは不明だが、JDMをめぐる不正行為が相次いでいるため現在はノーズカット(ハーフカット)という形状であってもエンジンとトランスミッションを含む場合は「パーツ」ではなく、「車両」としてみなされる。 そのため輸出抹消登録などと同等の書類を求められるのが一般的だ。つまり盗難車がアメリカに密輸されることはこの1~2年でかなり厳しくなっている。 だからといって旧車スポーツカーの盗難が減ったわけではない。日本には世界で人気の非常に高値で売れるスポーツカーがまだ大量に存在している。最近はUAEに向けて送られる盗難車も少なくないと聞いている。
■チューニングショップ店員を巻き込んで共犯に?
では、旧車窃盗における「指令」はどこから来るのだろうか? 「『2024年6月末までにR34GT-Rを3台』などの指示は海外から来ると聞いている。目当てのクルマを探す方法はいろいろある。便利なGoogleストリートビューも使う。屋外駐車場(道路沿い)に停めているクルマならストリートビューに画像が出てくる」 「何台か探して夜中に下見に行き、防犯カメラの位置やらセキュリティの状況、わざと揺らして警報音を出してみたりもする。ハンドルやバッテリーを外しているクルマがあれば犯行当日、クルマに合うものを持参して盗む。ハンドルロックがついていれば切断する道具を持っていく。これなら簡単に切断できる」 「あと、旧車はオーナーイベントや旧車ミーティング、展示会や走行会などのイベントに参加するオーナーが多い。そのような場所に出向いて物色することもある。こちらが日本人だと警戒されないのでやりやすい。『若い頃に乗ってたんですよ』『綺麗に手入れされてますねー』なんて言えば心を許してくれる。スキを見てGPSを仕込むこともある」 「旧車専門のチューニングショップの店員と仲よくなって目当てのクルマが入庫したら連絡をくれといってお願いする方法も効率がいい。その時、車検証のコピーも一緒にもらう。彼らは給料が安いから1台あたり謝礼として3万~5万円払うといえば簡単に教えてくれる。まあ、共犯だな」 「そのクルマを盗んだところで、警察は盗難車の捜査をほとんどしないから、どこから情報が出てきたかなんて99%わからない。共犯の店員まで捜査が及ぶことはまずありえない」