16歳・サニブラウンが持つ9秒台の可能性
一方で、上半身のフォームの崩れなど課題も多い。まだ高校2年生の16歳。当然と言えば当然で、不破氏は、今は短所の修正ではなく、長い目で見て長所を伸ばしていく育成方針で育てるべきだと主張する。 「本人もコメントしていたが、上半身の暴れというか、バラつきを修正していくのが課題だろう。だが、まだ16歳、スプリンターとしての最初のピークは、5年後の東京五輪でいい。今は課題の修正よりも、よりモチベーションを高めて、勝つことに重きを置くレース経験を積みながら長所を伸ばしたほうがいいと思う。 僕も、現役時代に高校生スプリンターとして騒がれたが、課題とされていたスタートの克服に時間を割きすぎて、長所である後半の走りを見失ったことがある。また100メートルと200メートルのふたつが走れてこそ、スプリンターだと思う。200メートルを走ることが、100メートルの後半の走りにプラスになっていく。 今後は、100メートルの魅力に引き込まれていくだろうが、200メートルにも力を入れることを忘れないで欲しい。走る度に記録を更新していく、今は走ることが楽しくて面白くて仕方がないと思う。その若さと勢いをうまく伸ばしていけば、9秒台が見えてくる。アジアで中国もカタールも9秒台を出すようになってきた。僕らの時代と違い、桐生選手ら日本人の中にもレベルが高く世界で勝負できる選手がそろってきた。そういう世界に目を置いてトレーニングに取り組める環境も、サニブラウンや桐生選手が、9秒台を出すことへのプラスに働くだろう」 世界を驚かせた怪物16歳は、29日に行われる400メートルリレーのメンバーに選ばれることが濃厚。そこでまたどんな走りを見せてくれるのか期待が膨らむ。