中国SF「三体」実写化に恐怖心も…「GOT」スタッフ再集結で挑むNetflix版「間違っていなかったと証明できる」
アレキサンダー・ウーは、小説と映像の違いを考慮することもドラマ化に不可欠だと指摘する。「小説はゆっくり読んだり休んだり、前に戻るのも自由です。自分のペースで読み進める小説と違って、ドラマは第1話から流れるように展開させていくのが理想。どうしても小説とは違う展開になっていきます。この作品ではキャラクターの関係性をわかりやすくするために、後半に出てくる人物を序盤に登場させたりしています」とシリーズ化のポイントを明かした。
キャスティングで思わぬ制限
ワールドワイドに配信される「三体」は、キャラクター設定にも手が加えられた。「小説では多くのキャラクターが中国人ですが、ドラマを観る世界中の人たちが自分たちの身に起こる出来事だとリアルに感じてもらえるよう、中国以外の国の人たちも出てきます」とワイス。キャスティングは、これまでも組んできた常連から、いつか仕事をしたいと思っていた名優まで多彩な俳優をオファーした。「ベネディクト・ウォンはいつか組みたいと思ってきた俳優のひとりで、諜報組織の捜査官という役柄的にもぴったりだと思います。『GOT』のジョン・ブラッドリーのように気心が知れている人もいます。彼はムードメーカーですが、今回はこれまでにない一面を見せてくれました。ほかにもメキシコ出身のエイザ・ゴンザレス、アレックス・シャープほか素晴らしい俳優たちが集まっています。作品を観ていただけたら、私たちのチョイスが正しかったと感じてもらえるでしょう」とワイスは自信をのぞかせた。 欧米からアジアまで国際色豊かなメンバーが集結したが、キャスティング作業は思わぬ制限を強いられたという。「パンデミックのため、候補者と直接会う機会が限られてしまったんです。中には最終段階でやっと顔を合わせが実現したり、ロンドンでの撮影直前にはじめて会った人もいました」
地球人を試すための三体人のバーチャル世界、三体人に向けて発射されるロケットなど、スケール感ある見せ場をちりばめた本作。ウーはビジュアル面もチャレンジの連続だったという。「原作者の劉氏がよく口にしていることですが、小説は文字(言葉)で伝える媒体なので、読者は自分が想像した世界を体験します。しかし私たちは劉氏の世界を、誰もが納得する形で具体的な映像にしなければなりません。そこはもっとも苦労した作業のひとつです」