コロナ後遺症「終わった宿題を繰り返しやってしまう」、子どもでも記憶障害や倦怠感 長引けば受験や就職に影響する恐れ
「大人と比べるとまれではありますが、長く続く症状は存在します。受験前などで心配している保護者から相談を受けることもしばしばあります」 ただ、後遺症といっても定義や呼び方には諸説ある。今回は1カ月以上たっても続く症状を対象とし、他の病気の影響が明らかなケースは除外した。 大人では、別の研究でコロナ感染者の3~4人に1人、半年後に後遺症の可能性がある症状があったと報告されている。子どもについてはそれほどの頻度ではないものの、特に幼い子どもの場合、うまく自分の症状を伝えられていない可能性があることにも留意しないといけない。重症度が高い子どもも診ている小児科医らから集めたデータなので、実際よりも割合が高くなっている可能性もある。嗅覚や味覚の障害は、オミクロン株が広がった2022年以降は発症する割合が減った。 勝田医師によると、症状が続いたことで入院したり、学校や保育園などを休んだりした子どももいたという。「半年後までに良くなることが多いが、気になる症状があれば気軽にかかりつけ医に相談してほしい」
▽「医療体制の整備が重要」 子どもの後遺症については、厚生労働省が公表しているコロナ感染後の長引く症状の情報をまとめた「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント」にも解説したページがある。編集にも関わった国立成育医療研究センター感染症科の船木孝則医長(小児感染症学)はこう指摘する。「コロナ後遺症と考えられているものの中には、コロナ禍での心理的・社会的ストレスが原因である例も混在している可能性もあり、注意が必要です」 船木医長も、発症する頻度は成人と比べて低いとみている。それでも発症する子は存在しており、「患者を受け入れる医療体制の整備は重要です」。海外でも研究結果は出てきており、例えばデンマークの研究では、多くの場合5カ月以内に回復する、との情報もあった。 【デンマークの研究】 https://link.springer.com/article/10.1007/s00431-021-04345-z