コロナ後遺症「終わった宿題を繰り返しやってしまう」、子どもでも記憶障害や倦怠感 長引けば受験や就職に影響する恐れ
MRI検査では問題は見つからなかった。それでも医師からは「コロナに感染した影響ではないか」と指摘された。 薬を飲むなどの治療は行わなかったが、その後、日がたつにつれて症状は改善していった。約1年が経過した現在は、「たまに忘れ物をすることはある」が、症状はほとんど気にならなくなったという。記憶があいまいだった時期に苦労した点は、いろいろ忘れてしまうのに、学校などで周囲の理解がなかなか得られなかったこと。「長い時間に感じた。もうコロナにかかるのは怖い」 ▽1カ月後も「後遺症」、3・9%の子に 一般に「後遺症」と呼ばれる症状でも、新型コロナウイルス感染の影響だと断定するのは難しい。この男児も「感染の影響が疑われる」症例となっている。ただ、感染後にさまざまな症状が長引くケースがあることは、日本小児科学会の研究チームのデータ分析でも最近、分かってきた。 【一部は論文として発表している】
https://journals.lww.com/pidj/Fulltext/2023/03000/Acute_and_Postacute_Clinical_Characteristics_of.13.aspx 4月中旬、東京都内で開催された日本小児科学会の学術集会で新たなデータが発表された。2020年2月~23年4月11日に、学会のデータベースに小児科医らから任意で感染が報告された、15歳以下を中心とする20歳未満の4606人を分析したところ、感染から1カ月以上たっても「後遺症」が残っていたのは3・9%の181人だった。 その主な症状は、多い順に発熱(30・4%)、せき(29・8%)、嗅覚障害(約17・7%)、倦怠感(約16・6%)、味覚障害(14・9%)など―。他に腹痛や頭痛、下痢、おう吐なども報告された。数は少ないが筋肉痛、意識の障害や胸の痛み、うつ状態といった症例もあった。 分析に関わった聖マリアンナ医科大学の勝田友博准教授(小児感染症学)はこう話す。