「避難所でもお湯が何度も使えた」断水が続く能登に強い味方「水を98%再利用できるシャワー」 被災者が自ら運用、新しい支援の形に
「一日でも早く能登半島全体をカバーしたい」 ただ、その場合も自律運用が前提だ。 前田さんらに同行する前は、避難者自らに運営に当たることはさらなる負担をかけることになるのではないかと漠然と思っていた。しかし、その予想は間違いだった。同行した時点では、避難者がそれぞれの立場で「できることをやろう」という姿勢を持っていた。 前田さんは、避難者のこうした思いが、被災地の水問題解決の一助になると説明する。 「支援側の要員が現場に張り付いていては、迅速に広げ、より広域で運用することができなくなる。自律運用を前提とすることで、より多くのエリアで長く展開できる」 ▽国全体で支える仕組みを 丸一日の密着を終えた別れ際、前田さんはこう強調した。「災害時の水と衛生の問題は、阪神大震災や東日本大震災、熊本地震など過去の災害でも大勢が苦しんだ。そろそろ根本的な対策がなされるべきだ。技術的に解決できるはずなのに、自分たちの準備不足で再発してしまっている。もう見過ごせない」
今回、各地の自治体が率先して被災地へWOTAの機器を送ったように、政府や自治体が平時の備えとして断水対策の設備を保有し、プッシュ型で提供する仕組みが必要だ。財政的に余力のない自治体のためには、設備を調達する費用補助も有効だろう。被災地で衛生的な環境を実現するための取り組みが求められている。