電線工業会、建設用電線需給ひっ迫で流通・電気工事業界に協力要請。市場鎮静化へ発注時期平準化など
日本電線工業会(会長・伊藤雅彦フジクラ会長)は8日、建設用電線の需給ひっ迫について電線流通・電気工事の両業界団体に対し、それぞれ状況を説明し市場鎮静化に向けた協力を要請した。建設用電線では極めて高水準の引き合いがあり大手メーカーでは新規受注停止の動きが拡大。ひっ迫原因は分かっていないが、主要顧客層である電線流通・電気工事の両業界に需給緩和に向けた発注時期平準化など、市場鎮静化への協力を求めた。電線工業会の金原正明専務理事は「皆さまには市場に落ち着きを取り戻すためにご協力いただけるようお願い申し上げたい」としている。 同工業会では先週5日に伊藤会長名で関係各所宛てに理解と協力を求める文書を発信。8日に金原専務理事が電線流通で組織する全日本電線販売業者連合会と電気設備事業者で作る日本電設工業協会に書面をもとに説明し、協力を仰いだ。 建設用電線を製造する会員企業各社の状況について可能な限り増産し、最大限の出荷に努めていると説明した。その上で直近で製品を求めるのではなく、納期に余裕を持った発注を要請。加えて短期間に引き合いが集中する状況を抑えるため年間での発注・所要時期を平準化することを求めた。また適切な仕様のケーブルを柔軟に選ぶことを要望。さらに個別の大型建築物などに大量に電線を納める大型件名案件では発注する品種・サイズ・量を極力早期に確定するなど需給緩和につながる協力を仰いだ。 建設用電線は銅電線の国内主力品種。高圧ケーブルで需給がひっ迫して8月頃から新規受注一時停止がアナウンスされ始め、ここにきてボリュームの大きい低圧ケーブルでもその動きが広がっている。電線工業会では今回の2団体のほかの業界団体に対しても、市場の鎮静化に向けた説明と協力要請に取り組んでいる。