トランプ「MAGA2.0」を取り巻く楽観と警戒、問題は高い代償か
ドゥブラフコ・ラコスブハス氏らJPモルガンのストラテジストは「関税の大幅な引き上げは、現政権の政策から最も著しく逸脱するものであり、ボラティリティーを引き起こす最大要因となり得る」と今回の選挙結果が分かる前にリポートで指摘。「現在のマクロ環境は8年前と大きく異なる。当時は景気循環のサイクル半ばで、労働市場はそれほど逼迫(ひっぱく)しておらず、インフレも米金融当局の懸念事項ではなかった。成長促進政策1.0は実施しやすく、収益への影響も大きかった時代だ」と続けた。
トランプ政権1期目では、市場との不安定な関係が特徴だったが、特に金融政策や貿易政策における従来の慣習を打ち破ったことで、リスク資産が例外的な活況を呈した。トランプ氏の財政刺激的な姿勢も少なからず寄与した。
だが、今回は経済が健全なペースで拡大し、インフレが今のところは鈍化しつつあり、米金融当局も政策緩和モードにある。こうした中で、政府がどのように財政政策を推進し、短期的なソフトランディング観測に影響を与えるのかは、まだわからない。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストによる9月の推計によると、トランプ氏が連邦法人税率を21%から15%に引き下げるという公約を実行すれば、S&P500種構成企業の収益は約4%増加する可能性がある。しかしこうした恩恵は、膨れ上がった財政赤字の結果として借り入れコストが上昇することで相殺される可能性が高いと、プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は指摘する。
「株式バリュエーションが既にこれほど割高になっており、景気が減速する見通しの中、トランプ氏勝利後のさらなる利回り上昇は、いずれ市場センチメントへの試練となり得る」とシャー氏は話した。
原題:In Trump Markets, Big Question Is How Much ‘MAGA’ 2.0 Will Cost(抜粋)