いま腸の病気が若者世代に急増している?「潰瘍性大腸炎」「クローン病」について医師に聞いた!
炎症性腸疾患(IBD*)には、おもに潰瘍性大腸炎とクローン病があります。いずれも近年急速に発症者が増加しています。原因不明と言われるこれらの病気。どんな人がかかりやすいの? 症状は? IBDの日本の第一人者、小林拓先生に取材しました。 *IBD=Inflammatory Bowel Disease 【画像】おすすめ腸活アイテムまとめ
■IBDは若者世代に増えている! 増田美加(以下、増田):若い世代に急速に増えている炎症性腸疾患(IBD)とは、どのような病気なのでしょうか? 小林拓先生(以下、小林先生):炎症性腸疾患(IBD)は、消化管(小腸や大腸など)に炎症が起こる病気の中で、原因がわからないものである、クローン病や潰瘍性大腸炎を指します。いずれも国の指定難病となっています。 日本では近年急速に増加しており、IBD患者さんは30万人とも40万人とも言われていて、全人口の300~400人にひとりの割合です。10代後半から30代前半の若い年代で発症する人が多く、この年代に限ってみると割合はもっと高いと考えられます。 本来なら病気にかかりにくく、病院に行く習慣がない若者世代。一人暮らしが多く、周囲に相談しにくい人も多いので、潜在的な患者数はもっと多いでしょう。 増田:潰瘍性大腸炎とクローン病、それぞれの症状や原因を教えてください。 小林先生:潰瘍性大腸炎とクローン病は、国の指定難病となっています。原因は不明ですが、遺伝的素因、体質、環境要因、腸内細菌、食生活、そのほか現代的生活スタイルが複雑に絡み合って影響していると考えられています。 長期間にわたる治療を必要とする病気ですが、継続的な治療や日常のケアで良い状態を維持することが目指せるようになってきました。これらの病気とわかれば医療費助成なども受けられます。怖がらずに症状をチェックしてみてください。それぞれ異なる病気ですので、ひとつずつ紹介していきます。 【潰瘍性大腸炎】下痢と血便、便意切迫感が特徴 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こり、炎症は出口の直腸から奥に向かって広がっていきます。 ●発症年齢 発症年齢には幅があり、10代後半から30代前半、40代・50代で発症する方も。国内の患者数は約22万人以上と推測。 ●おもな症状 ・下痢 ・血便(粘り気のある赤いゼリー状のものがついたような血便も) ・便意切迫(便意を感じるとすぐにトレイに駆け込みたくなる) ・ 腹痛(しくしく痛む) ・重症の場合、体重減少や発熱、貧血など 【クローン病】初期は下痢と腹痛が特徴 クローン病は、消化管の粘膜に原因不明の炎症や潰瘍が生じる病気です。発生しやすい場所は、小腸から大腸のいずれか、または両方で炎症が起こります。ときには、口、食道、胃、十二指腸など消化管のどこにでも点々と炎症が起こる場合があり、多種多彩な症状が起こる可能性があります。 ●発症年齢 20~40代が多く潰瘍性大腸炎よりも若い。国内の患者数は約7万人以上と推察 ●おもな症状 ・下痢や腹痛(初期症状で最も多い) ・血便 ・体重減少 ・発熱(微熱) ・倦怠感 ・肛門の異常(痔のような症状もクローン病に伴って起こることも)など