元王者マリー、パリ五輪での引退を表明! 金2つの思い出の舞台に「最後にもう一度出場できることを誇りに思う」<SMASH>
男子テニス元世界ランク1位のアンディ・マリー(イギリス/現121位)が7月23日に自身の公式SNSを更新。間もなく開幕を迎えるパリ五輪(テニス競技は7月27日~8月4日/クレー)を最後に、現役を引退することを正式に発表した。 【画像】パリ五輪で現役を退くことを綴ったマリーのSNS 2005年にプロに転向し、どんなボールにも食らいつく粘りのディフェンスやフォアハンドの強烈なカウンターショットを武器に男子テニス界を牽引してきた37歳のマリー。これまでに獲得したツアータイトルは実に46を数え、うち3つは最高峰の四大大会(全米1回、ウインブルドン2回)で手にしている。さらには12年ロンドン五輪、16年リオ五輪の2大会連続で母国に金メダルをもたらし、オリンピックのシングルスで2連覇を達成した初めてのプレーヤーとなった。 当時25歳だった16年11月には自己最高位となる世界1位を記録。そこから約9カ月にわたって王座に君臨したマリーだったが、17年に臀部の大ケガを負うとそれまで順風満帆だったキャリアが一気に暗転してしまう。19年初頭には引退の危機に追い込まれ、全豪オープンで涙の会見を行ない、終わりが近いことを多くのファンが覚悟した。 それでも不屈の男は諦めなかった。人工関節挿入の大手術を経て19年5月に戦列復帰を果たすと、同年10月には「ヨーロピアン・オープン」(ベルギー・アントワープ/インドアハード/ATP250)で約2年7カ月ぶりとなるツアータイトルをゲット。その後も度重なるケガと闘いながらツアーを転戦し続け、22年6月には約4年ぶりのトップ50復帰を果たした。 だがここ最近は結果が振るわず、心身ともに限界に達していたマリー。今年2月に引退を示唆すると、今月初めには兄のジェイミー・マリー(元複世界1位)とのペアでキャリア最後となる聖地「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/芝)のダブルスに参戦(結果は初戦敗退)。試合後に挙行された特別セレモニーでは、引退という苦渋の決断を下さなければならないことへの無念の思いを明かしていた。 そしてとうとう“その時”が来てしまった。今回更新したSNSでマリーは8年前のリオ五輪表彰式の写真を添え、「キャリア最後の大会になるオリンピックに向けてパリに到着しました」とパリ五輪後に現役を退く旨を報告。 「イギリスのためにプレーした数週間は、私のキャリアの中で最も思い出深いものでした。最後にもう一度出場できることを誇りに思います」と、“ラストダンス”に向けた心境を綴った。 テニス人生の集大成となるパリ五輪ではどんなプレーを見せてくれるのか。“不屈の男”の最後の雄姿をしっかりと見届けたい。 文●中村光佑
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