富岡製糸場が世界遺産に決定 次の候補は?
来年の登録に向け、まもなく山場を迎えるのは
富岡製糸場(群馬県富岡市)と絹産業遺産群が、ユネスコ世界遺産委員会で正式に世界文化遺産に登録された。日本では昨年の「富士山」に続く18件目の世界遺産となった(文化遺産では14件目)。 富岡製糸場に続け──。次の世界遺産候補には何があがっているのか。 ほどなく、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が来年(2015年)の登録に向け、山場を迎える。ユネスコの諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)の現地調査は、例年8月~9月にかけて行われるからだ。 「明治日本の産業革命遺産」は、山口および九州5県(福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島)の各施設と静岡県の韮山反射炉、岩手県釜石市の橋野高炉跡など28資産から成る。幕末から明治に至る日本の近代工業化と「ものづくり文化」の牽引役として、八幡製鉄所や三池炭鉱、軍艦島(端島炭鉱)などなじみ深い名前が並ぶ。八幡製鉄所の修繕工場や長崎造船所のクレーン、三池港など現在も稼働中の施設が含まれることも特徴だ。
2016年の有力候補は
同じ九州にあって、2016年の文化遺産登録へ推薦が有望視されているのが、昨年「明治日本の産業革命遺産」と国内推薦枠を競い合った「長崎の教会群とキリスト教関連施設」だ。国宝の大浦天主堂や島原の乱の舞台となった原城跡、禁教下にも信仰を守り続けた天草の崎津集落など13史跡。16世紀半ばのキリスト教伝来から、弾圧と受難の時代を経て信仰が認められるまで、4世紀にわたる歴史を物語る遺産群である。 一昨年、富岡製糸場と推薦枠を最後まで争って惜敗。隠れキリシタンたちが信仰を告白した「信徒発見」から150年目となる2015年の登録推薦についても、再び惜敗。しかし、今年4月、文化庁が今年度中に2016年の登録候補に推薦する方針を固め、登録に一歩近づいた。8月にも政府が正式決定する見通しだ。 まさに三度目の正直。やや先の話だが、九州から2年連続の世界遺産登録となれば、かの地は大いに盛り上がりそうだ。