自分の応援演説に来てくれた安倍元総理が撃たれた 真横にいた佐藤参院議員が明かす「申し訳ない気持ちで過ごした1年」
安倍晋三元首相が昨年7月8日に奈良市で銃撃されてから1年。当時、真横にいた自民党の佐藤啓参院議員がインタビューに応じた。「すぐに駆け寄って『総理、総理』と声をかけたが、返答はなかった」―。自分の応援のための選挙遊説が事件現場となった。昭恵夫人をはじめ安倍氏を慕う多くの人々に「大変申し訳ない気持ちで過ごした1年だった」と振り返りつつ、恩に報いるため安倍氏が情熱を傾けた政策を引き継ぐことに努力していると語った。(共同通信=高松亜也子) ▽慰霊碑建立、最低限の思いに応えられた ―これまで断っていた取材を受けたのは心境に変化があったのですか。 「昭恵夫人をはじめご遺族や山口県の皆さん、安倍先生を慕う多くの皆さんに大変申し訳ない気持ちで過ごした1年でした。ご恩に報いるため、安倍先生が情熱を持って取り組んだ政策を引き継ぐことに努力して活動した1年でもありました」 「一周忌を迎えるに当たり、静かに手を合わせて花を手向ける場所を作らなければならないと思っていました。7月1日、地元有志のご厚意で慰霊碑を建てることができました。安倍先生を慕う多くの皆さんの思いに最低限、応えられたのではないかと思い、取材を受けることにしました」
▽強烈な怒りと同時に流れた涙 ―安倍氏が参院選の応援に入るのは2回目でした。 「前日昼ごろ、私の陣営に連絡があったと聞いています。私も私の陣営も、2回も応援に来てくれるのかという驚きと、本当にありがたいという気持ちでした」 ―事件の様子は覚えていますか。 「1発目の大きな音が鳴ってからは、現場がどうなっていたのかほぼ分かりません。最初の音が何の音かも分からなかったです。2発目の音が鳴った時に、左後ろから『危ない、逃げろ』と前方に誘導する動きがありました」 「振り返ると、安倍先生が倒れていました。容疑者が取り押さえられている状況も分かりました。すぐ安倍先生に駆け寄って『総理、総理』と2回声をかけましたが、返答はありませんでした。医療関係者の方々が何とか助けたいと、いろいろな対応をしていました」 「私自身は相当混乱していました。強烈な怒りと悲しみが混ざった感情がありました。『なんでこんなことをするんだ』と大きな声で叫んだ記憶もあります。怒りと同時に涙も流していました」