不安定な動きを続ける東京市場と日銀金融政策(主な意見):追加利上げは早すぎたのか?遅すぎたのか?
「主な意見」の公表:追加利上げは時期尚早だったのか
日本銀行が8日に公表した、前回の金融政策決定会合における政策委員の発言をまとめた「主な意見」では、経済・物価が想定通りに進んでいる一方、政策金利の水準はかなり低いことから、追加利上げは適切との意見が多く示された。他方、「金融政策の正常化が自己目的になってはならず、今後の金融政策運営については、注意深く進めていく必要がある」との意見も示された。 日本銀行の追加利上げが東京市場の動揺を引き起こしたとし、追加利上げは「時期尚早だった」との意見が政治サイドも含めて聞かれる。 実際は正常化に着手するのが遅かったことが、金融市場の動揺につながった面があり、むしろ正常化が遅れたことが問題なのではないか。正常化が遅れたことが、過度な円安・株高の進展、いわゆる「円安・株高バブル」を生み出し、足もとの大きな調整を引き起こしたのではないか。もっと早く政策金利の引き上げなど正常化に着手していれば、行き過ぎとその調整の度合いは小さかったと思われる。 また、政策金利の引き下げを通じて日本銀行が金融市場の安定に「実弾」を持って対応できる余地が生じたはずだ。政策金利引き下げののりしろがあることは、金融市場の不安を緩和し、動揺を抑える効果があるだろう。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英