これじゃ保険料、いくら払っても足りないよ…製薬企業「高すぎるクスリ」「イマイチな新薬」でボロ儲けのエグい戦略
前編記事はこちら:【もう保険制度は限界です…日本人に「イマイチなクスリ」を「バカ高い値段」で買わせる、製薬業界の「ヤバすぎるやり方】 【写真】「ジェネリックは効かない」の原因と真相 年間10兆円に迫る、日本の莫大な「クスリ代」。手厚い医療のためなら、カネがかかっても仕方ない……と思うかもしれないが、そのうち少なからぬ金額が、「効果がイマイチなクスリ」に浪費されている。
製薬会社「儲けのカラクリ」
2011年に承認された痛風薬のフェブリク(帝人ファーマ)に関しても、前編で触れたタケキャブと同じく「新規性に乏しい」という指摘がある。 「じつはフェブリクは、1968年に承認されたザイロリックとほぼ同じ成分のクスリです。ですが、当初の薬価はザイロリックの19倍でした。 2型糖尿病のクスリで2010年に承認され、処方量が約15億錠にのぼるメトグルコ(住友ファーマ)も、60年以上昔からある糖尿病薬のメルビン(現在は販売終了)とまったく同じ成分です。 新薬として承認せずとも、メルビンの用法・用量を変更申請すればよかったのではないかと感じます」(廣田氏) むろん、これらのクスリの費用の大部分は保険料によって賄われている。患者からすれば、いろんなクスリを安く使えることにはいい面もあるが、その一方で「名ばかり新薬」にも莫大なカネが注ぎ込まれているのだ。
コロナ薬「政府が買い上げ」の裏側
不透明な審査で承認された新薬の最たる例が、新型コロナ治療薬として2022年に緊急承認された塩野義製薬のゾコーバだ。国が「価格非公開」で、200万人分を約1000億円で買い上げた。 「じつは、ゾコーバは直前に承認されたファイザーのコロナ薬パキロビッドと似た作用のクスリなのに、なぜか審査のときには、作用が異なるコロナ薬ラゲブリオと、インフルエンザ治療薬のゾフルーザが比較対象とされ、薬価は『両者の中間をとる』として1治療(5日間)あたり5万1852円に決まりました。 1000億円を200万人で割ると5万円。政府の予算額にあわせるために、恣意的な審査が行われたのではないか、と疑われても仕方がない」(製薬業界関係者) 新薬の値段は、年に4回開かれる厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で決まる。委員にはつねに日本医師会幹部が3人と、製薬大手の幹部が2~3人含まれている。クスリの新規性や効果について、異論が出ることはほとんどないのが実情だ。