DeNA、遂に開花か!?ポテンシャルの塊・梶原昂希が誓う「チームのプラスになることを打席の中で」
◆ 3年目初のお立ち台 「とても気持ちいいですね」。本拠地・横浜スタジアムで初のお立ち台に立った梶原昂希は、眩いスポットライトにも負けない、煌めく笑顔で素直な心境を口にした。 8月9日のヤクルト戦。2点を先制され、チームは2回もチャンスを潰す中訪れた3回、無死1塁の場面での同点アーチ。「まず1番のクワさん(桑原将志)がヘッドスライディングで価値のある出塁をしてくれて行くぞって感じだったので、僕もしっかりランナーを得点圏に進めて、強力なクリーンナップにどういう風に繋げばいいかなっていうネクストで考えていました。そこで打って、チャンスを拡大するのが1番かなと思ったんで、初球から仕掛けていきました」とあくまでも結果がホームランになっただけで、狙ってはなかったと告白。ヒーローとなり「3年目で初のお立ち台だったんで、もうなんかさらに嬉しい気持ちといろんな感情があったんですけど、やっぱり立たせてもらえるってことは、チームの勝ちに貢献できた1つのバロメーターじゃないですけど、目に見えてわかるとこなんで。素直に嬉しかったですね」と興奮冷めやらぬ様子で、笑顔を弾ませた。 昨年は頭角を現しつつも、8月22日に足首を痛めて戦線離脱。しっかりとアピールしなければならない2024年は、自主トレをともにし師と仰ぐソフトバンクの柳田悠岐から「143安打を目標にやりなさい」と発破をかけられた。自らも「それはレギュラーを取らないと達成できない」と熟知。オープン戦前半こそ苦しんだが、後半になるにつれ調子も上向き、開幕スタメンの座を掴んだ。 しかしその試合で3打数3三振と最悪のスタートとなると、その後も自慢の打棒は影を潜め、4月下旬にはファーム降格が告げられた。「自分の頭の整理よりも先に、やっぱり結果が欲しいっていう方が先走ってしまって…」と反省し、ファームで研鑽。「開幕から自分の形っていうのを見失った中で、ファームの方でしっかり取り組みを見直させてもらった」と自分と向きあった。その結果、持ち味のひとつでもある逆方向へのホームランも飛び出すなど調子を上向かせ、打率.317、OPS.811と数字も残した。 そして再昇格した5月30日、交流戦からリスタート。「あの時間はすごい有意義で、自分になくてはならないものだったなと思います」と二軍で積み重ねて来たことを実践すると、価値あるヒットも増やしチームに貢献。7月に入ると主に1番でスタメン起用され、月間打率.361、OPS803と一気にバットは爆発した。8月に入っても勢いは止まらず、快足を武器にしたベースランニングや守備でも猛アピールを続けている。 現在の取り組みは「結果を欲しがると身体に余計な力が入ってしまう。でも試合で打席に立つと、勝手に力が入るものだっていうのを自分に再認識させながらも、いかに脱力をするかっていうところがテーマ」と明確。「最近はインコースを攻められたり、いろんな配球がある中でそれに対応していかないといけない。自分の元からあるスタイルに、色々加えたり減らしたりっていうのを繰り返しています」と研究してくる相手の更に上を行くことを念頭に置く。 また上位打線に名を連ねることに「後ろに中軸が控えてるので、初球いくにしてもしっかり球を絞る。どうやって後ろに繋ぐっかていうのも、1、2番を打つ役割かなと思う。まだ勉強中ではあるんですけど、完成させるようにそこも磨けていけたらなと思います」と求められているポイントも自覚。そのうえで「チームのプラスになることを打席の中でできればという思いでやってるんで、一日一善ですね。そういった打席を経ることが、レギュラー選手になるための道だと思うので」とポジション奪取に並々ならぬ決意を見せた。 三浦監督は「期待値はかなり上がってきてますし、結果も出てきています」としながらも「もっともっと上乗せできますし、現状に満足してもらっては困ります」の言葉からは、スケールの大きなプレーヤーへの覚醒が求められていることは明らか。目指している“ハマのギータ"から唯一無二の梶原昂希へ。そのポテンシャルを開花させるときが、もうすぐ訪れるに違いない。 取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘
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