「革命的」と話題の手洗い付き男子トイレ 普及には意外な壁も
「革命的トイレ」はなぜ全国で4カ所しかないのか?
構想から59年の時間を経て実現した手洗器一体型小便器。これだけ画期的な商品であれば全国に普及していてもよさそうなものだが、このトイレが実際に置かれているのは、NEXCO西日本のサービスエリア4カ所(大分自動車道の山田SA、名神高速の大津SA、中国自動車道の美東SA、九州自動車道の広川SA)のみ。NEXCO西日本は今後さらなる導入も考えているというが、なぜこのトイレは、全国に普及していないのだろうか。 TOTOの担当者は、普及への課題をこう指摘する。「エコトイレサービスの手洗い場は高い位置にあり、お子様が問題なく利用できるかというと、そうではありません。加えて手洗い場がセットになっていることにより、ひとつの便器あたりの滞在時間が延びるという課題があります」 不特定多数が利用する公衆トイレでは、すべての人にとって利用しやすい環境が求められる。子どもの利用や、混雑時での利用などを考えると、全国のトイレを「手洗器一体型小便器」に単純に置き換えていくわけにはいかないようだ。
「設置にはある種のノウハウが必要」
「手洗いスペースに関しても、このトイレの導入ですぐに不要にはならないという課題があります。男性の場合は大便器を利用される方も別におられますから、その方のために手洗い場が必要になります。『手洗器一体型小便器』と一般の小便器の設置比率、手洗い場の設置とのバランスなど、既存の施設と適切に組み合わせなければならず、設置にはある種のノウハウが必要になるのです」 革命的なデザインのトイレが全国に普及しない理由には、あらゆる人にとって快適なトイレ空間を提供するための、知らざれる苦悩があるようだ。 (根本聡一郎/THE EAST TIMES)