「革命的」と話題の手洗い付き男子トイレ 普及には意外な壁も
SNS上で、ある男子トイレが「革命的だ」と話題になっている。小便器と手洗い場が一体化した男子トイレ、その名も「手洗器一体型小便器」。先月、Twitterにその男子トイレの写真が投稿されると、「画期的」「ありそうでなかった発明」と、絶賛の嵐が巻き起こった。しかし開発者に取材すると、「革命的なトイレ」の普及には、意外な壁があることも分かってきた。
2012年に実用化していた
「手洗器一体型小便器」は、西日本高速道路(NEXCO西日本、大阪市)とTOTO(北九州市)による共同開発によって2012年11月に実用化された商品。手洗い水を便器の洗浄に再利用する節水機能が評価され、2013年に開催された「第10回エコプロダクツ大賞」では、エコサービス部門の優秀賞を受賞している。 なぜ、このトイレを開発したのか。NEXCO西日本の広報担当者は「開発担当者がトイレに入ったとき、『男性用小便器でも、洋式トイレのような仕組みで手洗い場と一体化させることができないか?』と考えたことがきっかけ」だったと話す。
実は構想は半世紀以上前からあった
実はこの構想自体は新しいものではなく、TOTOには半世紀以上前から「手洗器一体型便所」の構想があったのだという。TOTOの担当者は、開発経緯をこう語る。 「手洗い器と小便器が同じ場所にあれば便利だという声は古くからあり、1953年に(「洗器付小便器」という名前で)設計された図面が残っています。その当時実用化には至らなかったのですが、2012年1月にNEXCO西日本様からお声がけをいただいたことで、このアイデアが実現しました」 このトイレの利点は、「節水」と「省スペース」にあるという。NEXCO西日本は「通常の施設に比べ、エコトイレサービスを利用したトイレでは最大で約15%節水を行うことができます。さらに手洗いの機能がついていることで、小便器を利用した方の手洗いスペースが不要になるという利点があります」と説明する。