春節2015 香港の正月を堪能する(2)── 新年幕開けの日を祝う
2015年2月19日は、旧暦の正月に当たる日だった。この日は現代の日本人にとって意識することのない、1年のうちのただの1日なのだが、中華圏の人にとっては最も大事な日だ。日本で言う正月、つまり新年幕開けの日である。
東京と比べても暖かい香港の正月
この日、羽田からの空の旅を終え、午後3時過ぎには香港に着いていた。日本との時差は1時間遅い。あいにくの曇り空だが、気温は18℃と同じ時期に最高気温が10℃前後の東京に比べると暖かかった。 香港空港には、都市中心部まで伸びる鉄道「エアポート・エクスプレス」の駅が併設されていて、荷物を受け取った後、ゲートを出たら、すぐそこにホームがある。市街地の九龍駅へは21分ほどで行ける。空港から要所に短時間で移動できるのは嬉しい。
さらに九龍駅から付近の主要なホテルへは「エアポート・エクスプレス」利用者用に無料のシャトルバスが出ている。宿泊先である「ザ ラックス マナー」へもバスが出ていたので、それを利用して移動した。移動時間は10分ほどと短いが、バスの窓から外を眺めるだけで日本にはない景色が目に入ってくる。 テレビや雑誌で見たのと同じ風景。ストリートの空を埋め尽くさん勢いのビルから横に伸びている看板。竹で組み上げられている建設現場の足場が見えた。密集して数多く立ち並ぶ高層ビルは地震が起こらないからだろう。
旧正月のため、シャッターが閉まっているお店も多い。中国の正月というと、爆竹を鳴らして、たいそう騒がしいと思っていたが、香港では爆竹が禁止されているらしく、騒がしいという印象はなかった。
香港のお年玉事情
ホテルのロビーに着く。金色の文字が添えられた赤い紙袋が、無数に飾られている。飾られた紙袋は香港のお年玉袋として使われるものだそうだ。赤い袋は、日本でいう「ぽち袋」みたいなものだろう。香港のお年玉は「利是」(ライシー)といい、中国では、赤と金は縁起が良い色とされている。赤には「悪を追い払い幸をもたらす」という意味がある。 ほかのレストランでも、金柑の木が置かれ、赤い袋で飾られていたのを目にした。金柑の木は「金」と掛けた縁起物だそうだ。金柑は、中国語で「金桔」と書くが、「桔」の発音が「吉」と同じでめでたいこと、また、黄色い実がなる様子を黄金に見立てて、たくさん実がなる様子を「大吉」に見立てている。