<ミャンマー現地報告3>内戦続くカレンニー州、戦時下で支え合う国内避難民(写真9枚+地図)
カレンニー州では人口の約8割が避難。その数は30万人超といわれる。メーセ周辺には、約1万人の国内避難民が9つのキャンプで暮らす。空爆や地雷に直面するなか、ほとんどの避難民が帰還していない。キャンプでは、子どもたちの教育のため、同じ避難民の大人や若者たちが支援活動にあたっている。(赤津陽治/アジアプレス) 【関連写真】<ミャンマー現地報告1>内戦下のカレンニー州、抵抗勢力側独自の州警察に密着(写真6枚+地図)
◆カレンニー州人口8割が避難民に
国軍の空爆が激しかった昨年6月には、多くの住民が国境を越え、タイ側に避難した。タイ当局は一時的に滞在を認めたものの、約3カ月後、ミャンマー側に送還した。 空爆や地雷の恐怖から、大多数の住民は依然として国境沿いに設けられた国内避難民キャンプに留まっている。メーセ周辺には、9カ所の国内避難民キャンプがあり、カレンニー州の各地域から避難してきた約1万人が暮らす。
カレンニー州暫定行政評議会(IEC)は今年初め、カレンニー州の人口約42万人のうち、8割にあたる約35万人が避難を余儀なくされていると発表している。 第3-Bキャンプを案内してくれたアンジェラさん(19歳)は、州西部のメーセナンから避難してきた。 「砲弾が飛んできたり、空爆されたりする危険がありました。どこに着弾するか分からない爆弾が怖くて、逃げてきたのです」
このキャンプには、99世帯455人が暮らす。竹で組まれた高床式の家が立ち並び、軒下には、薪が積まれていた。 キャンプでは、米(1カ月大人約16キロ、子ども8キロ)や豆、塩、油の食糧のほか、服、毛布、屋根用シートが配給される。高菜や唐辛子などの野菜は、自家栽培している。 「清潔な飲用水を一番必要としています。次に、爪切りなどのような衛生用品です」とアンジェラさんは話す。 井戸はなく、小川の水を飲料用にするしかない。衛生状態が悪いため、下痢症状が出ることも少なくない。
◆戦時下に生きる子どもたち
キャンプ内に設けられた学校では、避難民の子どもたちの元気な声が響いていた。若い女性教員が3つの教室を移動しながら、同時に3学年を教えていた。 授業に使われていたのは、日本の国際協力機構(JICA)の援助で2017年からミャンマー全国の学校に導入された教科書だった。教科書は足りておらず、持っていない子どもたちもいる。 しかし、子どもたちは、本当に楽しそうに授業を受けていた。