『鬼滅の刃』悲鳴嶼の壮絶な過去が明らかに ED曲を活かした鬼舞辻無惨のアニオリ演出も
TVアニメ『鬼滅の刃』柱稽古編第7話「岩柱・悲鳴嶼行冥」は10分拡大の40分スペシャル版として放送された。柱稽古編は全8話であることが明かされており、残すところ1話。物語は佳境を迎える中で、ラストには鬼舞辻無惨と産屋敷耀哉が邂逅した。 【写真】風柱・不死川実弥と決闘をしていた水柱・冨岡義勇 岩柱・悲鳴嶼の稽古を乗り越えた炭治郎。「私は君を認める」と炭治郎の行いを全て受け入れる悲鳴嶼に対し、炭治郎は「俺のことを簡単に認めないでください」と答える。まっすぐに向き合う炭治郎を悲鳴嶼はなぜ認めたのか。それは悲鳴嶼の過去によって明らかとなった。 昔、寺で身寄りのない子どもたちを育てていた悲鳴嶼。その生活はまるで家族のようで、温かい関係性を築いていた。しかし、言いつけを守らずに夜まで外を出歩いていた子どもが鬼と遭遇し、自分の命と引き換えに寺にいる悲鳴嶼と子どもたちを犠牲にしたのだ。寺は鬼に襲撃され、子どもたちは恐怖のあまり悲鳴嶼の言うことを聞かずに鬼に殺されてしまうが、唯一悲鳴嶼に従順だったのが沙代という女の子だった。「何としても沙代だけは守る」と誓った悲鳴嶼は全ての力を振り絞って鬼を殴り潰してしまう。だが、沙代を守った悲鳴嶼の思いも虚しく、沙代に濡れ衣を着せられてしまうのだった。まだ小さい女の子だから混乱するのも無理はないが、悲鳴嶼は沙代からの感謝の言葉が欲しかったのだ。 原作では悲鳴嶼と沙代の関係性には触れられていないが、アニメでは沙代が悲鳴嶼を心配して自分の魚を分けてあげるシーンを描くことで、より悲鳴嶼と沙代の関係性を浮き彫りにしていた。幼子であれ、土壇場で人間の本性が出ると信じている悲鳴嶼が炭治郎を認めた。それはどんな時でも目を背けずに素直でい続けた炭治郎の人柄があってこそだった。悲鳴嶼の過去が消えてなくなるわけではないが、炭治郎の存在は悲鳴嶼の救いになっていたのかもしれない。
冨岡義勇の“天然ぶり”が再確認できるほっこりシーンも
“覚悟”を決めた善逸と炭治郎のやり取りも印象的だった。厳しい悲鳴嶼の稽古に悲鳴を上げていた善逸だったが、チュン太郎が届けた一通の「手紙」により、雰囲気が一変する。心配する炭治郎をよそに「やるべきこと・やらなくちゃいけないことがはっきりしただけだ」と語る。その口ぶりはいつものビビリな善逸ではなく、覚悟が決まっている人の決意に満ちた声。「これは絶対に俺がやらなきゃ駄目なんだ」と語る下野紘の声色がとても素晴らしかった。その手紙の内容、すなわち善逸の“やるべきこと”は今後明かされていくことだろう。 義勇のもとに向かった炭治郎だったが、義勇と不死川は決闘をしていた。不死川の「風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ」、義勇の「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」が飛び交う戦闘シーンのアニメーションは圧巻。その後に炭治郎が割って入って、不死川を怒らせるまでの一連の流れも『鬼滅の刃』らしい展開だ。義勇が不死川と仲良くなるためにおはぎをあげようとしているシーンからは、義勇の天然ぶりが再確認できるほっこりとするシーンだった。 40分のスペシャル版とあって、無惨が産屋敷邸に侵入するシーンはHYDE × MY FIRST STORYの「永久 -トコシエ-」をBGMに丁寧にじっくりと描かれていた。一歩一歩産屋敷に近づいていく無惨は、圧倒的なオーラを放っている。個人的には「無限城編」に至るまでのプロローグとしてはこの上ない演出だったように思う。この先の展開が読めないからこそ、2人の邂逅には胸が高鳴った。無惨の狙いは禰豆子であることは間違いないが、簡単に侵入を許す産屋敷ではないだろう。何か策があるはずだと信じて、最終話を待ちたい。
川崎龍也