避難所生活を体験 田工高生徒が教室で寝泊まり、和歌山
和歌山県田辺市あけぼのの田辺工業高校でこのほど、機械科の3年生が南海トラフ巨大地震に備えて、避難所生活を体験した。水道や電気が止まった状況を想定し、学校の教室で寝泊まりしながら、避難所の開設や運営に必要な知識を学んだ。 【「災間」意識し行動を 東日本大震災の被災者が和歌山県田辺市で講演の記事はこちら】 体験したのは、課題研究の授業で「防災と消防設備の研究」をテーマに取り組んでいる生徒7人。これまでの授業で、田辺市消防本部や市の防災まちづくり課の協力で、校内の消火栓や避難器具、放送設備などの使い方を習得し、防災への理解を深めてきた。 同校は周辺地域の避難先になっていることもあり、「学校をよく知る自分たちこそが避難所運営に関わるべきだ」という思いから今回の体験を企画した。 初日は、校内に置いていた段ボールをガムテープでつなぎ合わせて仕切りを作り、寝床となる個人スペースを用意。避難所を「田辺工業あんしんひろば」と名付けて手作りの看板を設置したり、新聞記事などを切り取った情報で掲示板を作ったりした。 食事は、缶詰やアルファ米などの非常食が中心。備蓄倉庫にある発電機を使って炊飯器を動かして米を炊き、冷蔵庫にある食材を先に使うよう計画を立てた。食器はなるべく再利用し、感染症や食中毒にならないよう衛生面にも気を付けた。 2日目は防災スクールを開き、校内にある救助袋と消火栓の使い方を生徒から教員に教えた。 「所長」を務めた生徒の楠本竜也さんは「意見をまとめるのは大変だったが、不安なことも皆がいて乗り越えることができた。いつもの日常はぜいたくをしているのだなと感じた」と振り返り「実際に避難所運営に関わることがあれば、少しでもストレスなく楽しく過ごせる空間づくりをしたい」と話した。
紀伊民報