「外国人のコントロールを嫌う日本人が陥れた」“カルロス・ゴーン事件”は日産自動車が仕掛けた陰謀だったのか
ゴーン改革の優れていた点は素直に評価すべき
そこに日産内の一部の日本人が過剰反応して「ゴーンと西川は対立関係にある」という言説が広まり、ゴーンによる「日産の陰謀」論が増長していったのだ。多くの人の証言や耳打ち、それまでの経緯を総合したうえで、私はそう推察している。 私はゴーン改革からゴーン事件までを自分の経験として一人称で語れる数少ない人間の一人だと思っている。ゴーンの不正そのものは断罪されるべき悪しき行為だった。それは紛れもない事実だ。しかし一方で2000年以降ゴーン体制の下で進められたゴーン改革、特に内なる国際化、リーダー層の人材構成、意思決定、業務プロセスの革新といった様々な経営改革のすべてが不正と同列に扱われ、否定されてしまうことを私は強く懸念している。 不正は不正として明確にする。そのうえでゴーン改革の優れていた点は素直に評価し、改革を進める中で浮き彫りになっていった日本型組織の課題も私の視点で分かりやすくお伝えしたいと思っている。 「なぜ私に一言も報告がないんですか!?」「検察から口止めされていて…」西川廣人元日産社長がゴーンの“巨額不正”を知った瞬間 へ続く
西川 廣人/Webオリジナル(外部転載)