「若い世代はLINEで『あけおめ』。郵便の出し方を知らない」応募ハガキが激減した全国コンクール“ハガキでごめんなさい”が示した日本社会の変化
最低記録の更新は避けられたが、それでも激減
過去約20年間で最も少なかったのは、やなせさんが亡くなった翌年度の第14回(2014年度)で904通。最低記録の更新は避けられたが、それでも激減には違いない。コンクールの「今後」に大きな不安を残した。 考えられる理由の一つは、郵便料金の値上げだ。2024年10月1日から、63円だったハガキが85円になった。 「コンクールには年金生活の高齢者からも多く寄せられます。物価高で生活が苦しくなっているのに値上げになったので、応募を控えた方が多かったのかもしれません」と、徳久衛(とくひさ・まもる)さん(64)は話す。
徳久さんは後免町の住民らで結成した「ハガキでごめんなさい実行委員会」(西村太利委員長)の副委員長だ。生前のやなせさんとは、南国市で最も親しく交流し、コンクールも中心になって運営してきた。
「年賀状じまい」も近年の流行に
ただ、徳久さんは「値上げだけでは説明がつきません」と語る。 ハガキは7月から募集し始めたので、9月までに送れば値上げ前の料金で済んだ。値上げが本格的にダメージを及ぼすのは来年度からと見ており、「もっと厳しくなると予想しています」と唇を噛む。 では、何が影響したのか。徳久さん、安岡事務局長、担当の竹中さんの話を聞いていくと、様々な要因が見えてきた。 まず、第一にハガキ離れ。 このところ、郵便料金の値上げを契機にした「年賀状じまい」が話題になっている。 徳久さんの本業はクリーニング会社の会長だが、「『もう年賀状を止めます』というハガキが秋口から届き始め、仕事関係ではほとんどの会社が今年で年賀状を止めてしまいました」と話す。 経費削減の面もあるだろうが、「年賀状じまい」は近年の流行になっている。今冬は社会面のトップ記事で報じる地方紙もあり、こうして社会現象化してしまうと、流れは止められない。 安岡事務局長は「最近では余った年賀状で応募する人も見なくなりました」と話す。 「唯一出すハガキが年賀状だった」という人も多かっただろうに、このままではハガキが滅びてしまいかねない事態だ。