KO復帰の那須川天心が力に変えたメイウェザーショック
7月21日に大阪で行われる準決勝の相手は、ムエタイの2大殿堂の一つ「ルンピニー」の王者、スアキムである。1回戦ではヴァンダレイ・シウバらを生んだブラジルの名門、シュートボクセからの刺客、タリソン・ゴメス・フェレイラの荒いフックに2度のダウン、崖っぷちに追い込まれながら3ラウンドに逆転KO。会場を盛り上げた強敵である。両者は、昨年2月にキックボクシングイベントの「KNOCK OUT」ですでに対戦、天心が判定勝ちしている。だが、ダウンは奪えていない。 「ほんと面白い試合だった。でも弱点も見つかった。相手からすればリベンジ。圧倒的に勝って差が広まったところを見せてやりたい。ダウンをとってKOできるように対策をしたい」 狙いはスアキムを受け身に回らせて、死角から打ち込むスイング系のパンチだろうか。 関西の格闘技の“聖地”エディオンアリーナに天心が上陸するのは初。インスタのフォロワー数が最も多いのが大阪だという。 「大阪って、ひとつの国のように感じる。イケイケで格闘技熱がある。その熱に乗っていきたいし、初めて見る人へのファーストインパクトが大事。今回の課題を修正して衝撃的なKOにつながればいい」 もう1試合の準決勝はムエタイ2大殿堂のもう一つ「ラジャダムナン」の現役スーパーフェザー級王者のルンキット・ウォーサンプラパイ(17)と「ルンピニー」で活躍している志朗(25、BeWELL)が対戦する。 「色々と波乱があると思っていたが、本当に強い一流が集まった。決勝で、日本人対決ができれば(とも考えるが)、そう簡単に行くのかなとも。気を抜かず自分のことだけを考えればいい」 決勝戦は9月16日の幕張メッセ。 ボクシング転向に関して聞かれることが増えた天心は「ボクシングに興味はあるが、キックで世界一になること」と答え続けてきた。 ムエタイの2大殿堂王者が揃った今大会を制して頂点に立つことが、天心の求める最強のひとつの完成形になる。 だから今大会前に「集大成になる」と発言した。 「やってきたことを全部出さないと勝てない相手(が揃っている)」 その後はボクシングなのか、MMAなのか、それともファンの間で交流が待望視されている「K-1」との勝負なのか。 同じく、この日、さいたまスーパーアリーナで行われた「K-1」も超満員で、59キロ以下契約で、武尊がラジャダムナンの現役フェザー級王者であるヨーキッサダー・ユッタチョンブリー(タイ)にKO勝ちしている。 天心は、リング上で「いろんな団体があると思うんですけど、どの団体が凄いとかじゃなくってキックボクシングを最高にしていきたい」とマイクを持ってアピールした。 バックステージで改めてこう語った。 「団体の壁はあるが、RISEとK-1がいつか一緒になる日がくればいいなあと思う。キックをみんなで盛り上げられているという実感がある。いがみあうんではなくてね」 天心が夢見るのは両団体が交流しての東京ドームでのスペシャルイベントだという。