G2P-Japan欧州ツアー2023~パリ、ロッテルダム、プラハ(中編)【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
■2023年6月、ロッテルダム 2度目のG2P-Japanツアーは、同じ年の6月。目的地は再びヨーロッパ。今回は、熊本大学のI、宮崎大学のSと私の3人旅。まずは最初の目的地、オランダ・ロッテルダムに集結。 オランダは5度目の訪問。それまでは、ユトレヒトとアムステルダムという、旧市街が美しい街にしか訪問したことがなかった。それに対して、第二次世界大戦で爆撃を受けて焼け野原になったロッテルダムは、開発が進んだ大都会だった。オランダといえば旧市街、という先入観があった私は、到着早々に面食らった。 「好きな国はどこですか?」と訊かれると、私は必ずオランダを上位に挙げる。その理由はいくつかあるが、まず、人がとても優しく、親切。ビールが美味しく、チーズもうまい。そしてなにより、アートのセンスがずば抜けている。便器にハエの絵が書いてあったり、歴史的な大聖堂の横にアヴァンギャルドなデザインの建物を建てていたり。 ユトレヒトやアムステルダムの場合には、旧市街の古いヨーロッパの街並みとそれらが交わって、なんとも形容しがたい、独特の雰囲気がある。そしてそんな街の中を、網目のようにカナル(運河)が流れている。カナルに浮かぶボートを自宅にしている人もいたりする。 ただ、こんな奇抜なセンスとは裏腹に、オランダは欠点を挙げるのも簡単な国だったりする。「おいしい!」と言える料理がほとんどないのである。それもあって、「いちばん好きな国!」と声を大にして言えないところがあるのも事実である。「フレンチフライが名物!」とか言ってフライドポテトにマヨネーズをかけて食べるような国民性なので、あとは推して知るべし、である。 オランダで好きな食べ物をしいて挙げろと言われれば、これまた名物の「ハーリング」を挙げる。これも別に凝った料理ではなく、ニシンを軽く塩漬けして発酵させたようなもので、寿司ネタにあるような酢でしめたイワシなどに味と食感が似ている。 閑話休題。ロッテルダムに集合したわれわれは、エラスムス大学医療センターを訪問。エラスムス大学医療センターは、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)も含め、コロナウイルスのアウトブレイクの際に、世界の最前線に活躍した研究所のひとつである。 ロッテルダムのホストを担ってくれたバート・ハーグマンス(Bart Haagmans)教授とは、実はそれまで面識がなく、メールでやりとりをしたことがあるだけだった。勢い勇んで予定を確保し、会ったこともないにもかかわらず、セミナーを開催してもらった。 そんな無茶振りでも歓待してくれ、研究所を丁寧に案内してくれた。セミナー後には、ハーグマンス教授のラボメンバーらも一緒にと夕食を共にした(余談だが、それは奇しくも、その前日にランチでひとり訪れたイタリアンレストランだった)。ハーグマンス教授を含め、エラスムス大学医療センターの面々とは、これからの共同研究の可能性も模索することができた。