<野球>日本の最強U-18は、なぜ世界一を逃したか
第1回のWBCで世界一を経験している里崎智也氏は、金属バットから木製バットへの適応ができていなかったことを指摘した。 「逆方向を意識してバッティングをしていた平沢や津田あたりは、木製バットに適応していたが、清宮らは、最後まで木製バットへの適応ができなかった。打球が飛ばないので、ポイントを前にして振ろうとしていたが、詰まることを嫌がるため、ポイントがどんどん前へ出ていったため、チェンジアップなどの変化球を見極めることができずにバットに当たらなくなった。僕は高校時代、試合と夏の大会の1週間くらい前くらいしか金属バットを使わせてもらえず竹バットで打っていたので、大学へ進んでも違和感はなかったけれど、清宮は、芯を外しても簡単に飛んでいく金属バットでプレーしてきた弊害がモロに出たと思う」 清宮は、この日、「4番・DH」で先発出場したが、2回先頭で迎えた第1打席、4回二死二塁のチャンスで迎えた第2打席は、いずれも縦に割れる大きな変化球のまったくタイミングが合わずに連続三振。6回二死一、二塁で巡ってきた第3打席も、変化球をひっかけてのボテボテのゴロ。グラウンド状態が悪く、あまりに打球が力弱かったため、内野安打となったが、快音は聞かれなかった。 左膝を痛めたことなども手伝って、大会を通じて成績は8試合27打数6安打で、打率.222、本塁打はゼロ。木製バットに対応するために、グリップの位置を変えたり、右足の上げ方を工夫したりしていたが、結果につながらなかった。 大会終了後、「チームに貢献できなかった。足を引っ張ってしまった」と、反省を口にした。まだ成長途上の1年生だが、将来的にプロで成功するためには、早くも体に染み込みつつある“金属バット病”を払拭しておかねばならないだろう。 三宅氏は、世界一を逃した大会の総括として、こんな提言をした。 「高野連がどこを目指すのかということでしょう。世界で通用する野球、戦いを考えているのならば、甲子園でのストライクゾーンも、国際規格に変えていく必要があるし、バットにしても、反発の低い金属バットをメーカーに作らせて、義務つけるような工夫もいるでしょう。それとも、高校野球とU-18のワールドカップは、別のものなのか。今大会の位置付についても、非常に曖昧な気がします」 国際大会で敗れる度に繰り返される国際基準の野球とは何かという議論。そもそもプロ野球の統一球の導入の大前提も、その理念がスタートだったはずなのだ……。2020年の東京五輪で野球・ソフトボールが復活するのならば、国際基準の野球というものを、この世代の選手から意識して取り組んでおかねばなないだろう。