11年ぶり来日のデンゼル・ワシントン、インタビューでお茶目発動も! 『グラディエーターII』は監督からの“演出なし”で演技
■独自のアプローチで謎の奴隷商人マクリヌスを怪演
デンゼルと同じように、リドリー監督もまた、彼に全幅の信頼を寄せており、「デンゼルに全てまかせておけばうまくいく。だから彼には演出しない」と豪語していたそうだが、実際にそれは守られていたようだ。「リドリーが優れた監督であるように、僕も優れた役者の一人だという自負があるので、お互いを信頼しながら自由にやらせてもらったんだ。リドリーなら、きっと僕のベストの演技を摘み取って映画のなかに入れてくれているはず。彼の手にかかれば僕も映えることはわかっているし…たぶん、映えていたと思う」と自信をのぞかせる。 では、自由に演じたというデンゼルは、この奴隷商人マクリヌスをどのように捉え、アプローチしていったのか。「彼は全てを俯瞰し、全てを掌で転がしコントロールしたいタイプ。人の気持ちなんてこれっぽっちも考えていない。パペットマスターのように引っ張り上げて、用がなくなれば弓矢で打ち落とす…そんな非情な男なんだ。だから、撮影期間中は、共演者と話をしたり、どこかへ出かけたり、あえてしなかったんだ」と述懐。 さらに、ポール演じるルシアスと対峙するときの心持ちについてデンゼルは、「突如現れたルシアスに対して興味を持ったマクリヌスは、『彼はどういうやつなんだろう』『彼の内側にあるこの怒りは何なんだろう』『この闘争心、暴力的な態度はいったいどこからくるんだろう』…と、円を描くように観察し、少しずつ、少しずつ、彼に近づいていく…そんなイメージを持ちながら演じていった」と振り返る。 すると突然、デンゼルのお茶目の虫が発動! ニヤニヤしながら、急に何かを一生懸命に絞るパフォーマンスを始める。「できれば言語化してください!」と懇願すると、通訳が、「ギューッと絞れるだけ絞り込んで、その絞り汁をなめる…みたいな感じ?」と想像力でなんとか訳すも、その光景を見ながらデンゼルはゲラゲラ笑っている。まるでジェスチャーゲームの様相だが、伝えようとしていることが、なんとなくはわかるので、これはこれで楽しいやり取りとして心に留めておいた。