軍事転用加速、自衛隊は人手不足補う「ドローン」利用も 変わった戦争構図、映画「ターミネーター」のように人間が機械に追われる日が
【自衛隊を支える改革 小笠原理恵】 石破茂首相を議長とする「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」では、副議長である中谷元(げん)防衛相を中心に、関係省庁が連携して取り組むべき方策の方向性と、2025年度予算に計上する項目を年内に取りまとめるという。衆院選で大敗した石破内閣だが、これだけはやり遂げてほしい。 自衛隊は野外で食事をつくる「野外炊具」を装備しており、災害派遣時に被災者らに温かい食事を提供する姿が報じられる。ただ、野外演習や災害派遣時の自衛官の食事は、戦闘糧食(携帯糧食)になることも多いという。 一方、米軍では最前線の兵士にも1日1食、野外キッチンでつくった温かい食事を届けるのを目標としている。体力や気力を極限まで使う兵士にとって、食事は数少ないモチベーションとなるからだ。 中国は野外訓練時に、ドローン(無人機)による配食を始めたという。野外キッチンでつくった温かい食事を空中配食する動画でも公開されている。ドローンによる配食は、弾薬や燃料、医薬品などの物資を部隊に届ける訓練も兼ねているという。 これまで自衛隊のドローン運用は、警戒・監視や情報収集が中心だったが、後方支援での運用が期待されている。「有事」に食糧や救護品、弾薬、燃料などの補給をドローンに任せられれば人手不足を補える。 能登半島地震のように、道路が寸断された被災地に物資を届けることも、ドローンは有効だ。航空法などを調整して、野外配食訓練でドローンの利用経験を積んでほしい。 軍事用ドローンの登場で、戦争は大きく変わった。 22年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻では、ロシア軍とウクライナ軍の双方がドローン攻撃の応酬を続けている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、同国のドローン製造能力が年間400万機台に達したと明かした。 無人化の流れは、「無人地上車両」「無人水上艇(水上ドローン)」「無人潜水艇(水中ドローン)」まで広がっており、遠隔操作型から完全自律型まで存在する。 パリで今年6月に開催された国際防衛装備・安全保障展示会「ユーロサトリ2024」でも、こうした無人装備が花形だった。ドローン搭載爆弾も進化していた。戦車の装甲を貫通するもの、多数の小さな破片で広範囲にわたる殺傷力を持つ弾頭もあった。