小学生になってもおねしょが治らない。夜尿症で自尊心が傷ついていく子どもたち
周りに相談しづらい「小学生や中学生になってもおねしょをしている」というお悩み。「成長するにつれてだんだん治っていくもの」と言われても、寝具を洗ったり乾かしたりする側からしてみれば、「いつになったら終わるの?」というのが本音ですよね。 子どものおねしょはどこからが「夜尿症」と診断されるのか、日頃の生活で気をつけると良いこと、宿泊学習への対応についてなど、児童精神科医の宇佐美政英先生にお話を伺いました。 【漫画】カッとなって手が出る子が激変した、父親からの言葉とは
おねしょで悩む小学生は意外に多い! 宿泊学習の対策をお願いすることは、恥ずかしくない
意外かもしれませんが、おねしょで悩んでいるお子さんや親御さんはとても多いんですよ。でも子どものトップシークレットですから、みんな学校では絶対に言いません。 単発的なおねしょではなく、「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」を「夜尿症」と呼びます。有病率は7歳で10%くらい。年齢を経るごとにだんだん割合は減っていきますが、10歳でも5%、15歳以上でも1~2%はいると推定されています。 夜尿症の原因としては、「睡眠中に尿意で目を覚ますことができない」という覚醒の問題が基礎にあり、そこに「夜間の尿量が多い」や「膀胱の容量が小さい」などの理由が重なった場合に起こります(※)。けっして育て方や性格の問題ではありません。 ※腎尿路疾患・神経疾患・内分泌疾患など、他の疾患が原因の場合もあります。 よくあることで恥ずかしくはありませんから、学校の宿泊学習などでは先生に相談して、起こしてもらったり、こっそりオムツをはいたりして対策をすれば良いと思います。学校の先生たちも驚かないと思います。逆に「おねしょが怖くて宿泊学習に行けない」となることのほうが、先生方からしたら避けたい事態なのではないでしょうか。
ほぼ毎晩するなど、回数が多い場合はかかりつけの小児科医に相談を
「成長するに従って治りますよ」とは言っても、毎日毎日されると親のほうも参っちゃいますよね。回数が頻回だったりする場合は、かかりつけの小児科医に相談しても良いと思います。 まずは生活リズムを整えるとか夜に水分摂るのを減らすとか、そういう生活の改善指導から入ると思いますが、いろいろと試して効果が乏しければ、お薬を使うようなこともありますね。薬は飲むものもありますし、点鼻薬でおしっこを作らせなくするようなものもあります。 あとはアラーム療法と言われるものですね。パンツにアラーム機器を入れておき、少しの濡れを感知すると音や振動や光で目を覚ましてくれる、という行動療法です。このアラーム機器はamazonなどで販売されているんですが、そのことからも、夜尿症で悩んでいる子どもがたくさんいるとわかりますよね。