落雷、竜巻、台風、記録的大雨、猛暑…激甚化する様々な災害への「備え」そして「命を守る行動」を見直した1年
2024年は、自然災害の脅威を思い知らされた1年となった。宮崎では、落雷に竜巻、そして台風や大雨など、あらゆる災害が立て続けに発生した。また、猛暑や記録的大雨など、地球環境の変化による「激甚化」も感じさせられた。改めて災害への備えを見直すとともに、「命を守る行動」について考えさせられる1年だった。 【画像】気象災害 特に被害が大きかった宮崎市では、住宅被害がおよそ1600棟に上った
新学期 早々の出来事に衝撃が走った
新年度が始まったばかりの4月3日。宮崎市古城町にある鵬翔高校のサッカーグラウンドに雷が落ち、ウォーミングアップをしていた熊本県・鹿本高校の生徒18人が病院に搬送された。 このうち1人は意識不明となり、8カ月以上が経った12月に入っても、意識が戻っていない。 当時は九州北部に停滞する前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、宮崎県内全域に雷注意報が発表されていた。落雷があったグラウンドの近くの防犯カメラの映像を見ると、雨が降っていないにも関わらず、激しい光とともに轟音が響き渡った様子が記録されていた。 近所の住民: 急激に雨が強くなって雷がなり始めた。雨もふっていたし、稲光がはしったのは確実に見えた。 今回の落雷では、雷鳴などの前兆がなかったといい、専門家も、雷が落ちることを予想することは難しい状況だったと話している。雷の被害を抑える研究をしている宮崎大学工学部の迫田達也教授は、「どんより暗い雲がなくても雷は落ちる可能性がある。高台の平地だったので雷は落ちやすかったと思う。」と話した。 近くの住民からは、稲光が2つに分かれたように見えたという目撃情報もあった。 迫田教授は、「前兆なく突然落ちてくることはあり得る。必ずしも積乱雲、暗い雲が近づいてきたから雷が落ちるということではない。雷雲が発達して成熟期に移る前の段階、たまたま氷の密度が低くて空が明るかった。予想が難しかったと思う。」と話した。
最強クラス・台風10号で竜巻被害が多発
2024年も相次いで台風が襲来した。中でも8月の台風10号は、当初の進路予想とは打って変わって、2005年の台風14号に似た「最悪のコース」で九州に接近し、宮崎県内に甚大な被害をもたらした。 活発な雨雲とともにゆっくりと迫ってきた台風10号。県内では、数日にわたって大荒れの天気が続いた。 宮崎市佐土原町では、竜巻と見られる突風が発生。目撃した人は、「ぐるぐる巻いているものが見えて、これは竜巻だと。ゴーっという聞いたことのないような音と、細かいものが壁やガラスにあたっているような音が聞こえた」と、恐怖を語った。 宮崎市の南部、大淀大橋の南詰では、道路に電線が垂れ下がったり、建物の壁が大きく剥がれ落ちるなど、目を疑うような光景が広がっていた。この時間帯、宮崎市城ケ崎や大淀地区など広い範囲で確認された突風被害。一夜明けると、街の風景は一変していた。 宮崎空港の北側では、西に向かって竜巻とみられる突風が通ったとみられ、住宅の瓦や屋根が飛ばされてしまっていた。根元から倒れている電柱も確認できた。 被害を受けた住民: 屋根がはがれた音まではわからなかった。ただドーン、バリバリ。その音がすごかった。もうびっくりして。最初は地震かと思った。 県内では、宮崎市や西都市など8ヵ所で竜巻や突風の被害が確認された。 特に被害が大きかった宮崎市では、住宅被害がおよそ1600棟に上った。