京葉銀行 取引先の増収増益ランキングで全国トップ ~ 人員増で対面営業強化、店舗数も維持へ インタビュー(後編) ~
―マイナス金利の解除や金利上昇の影響は
コロナの影響の緩和や業績改善、原価高騰の影響などで運転資金ニーズが出てきた。 金利上昇については、新聞報道などがなされるなかで、各企業も一定の(金利上昇の)理解があるのではないか。短期プライムレートが改定され、金利は上がってきているが、取引先に大きな抵抗感はなく、(金利上昇による)支援の取り組みに大きな方針変更はない。 ただ、景気などの動向でさらなる金利上昇の可能性がある。特に、借入負担の大きな業種である不動産や不動産賃貸、設備産業などには金利上昇の影響も考慮して対応していく。 一方、金利上昇に抵抗感がある顧客もいる。納得いただけるよう、本業支援の強化や付加価値の高いサービスを提供することが大事だ。
―事業承継やM&Aの問題の取り組みは
後継者難はすでに問題となっている。銀行にも後継者がいないという相談が相当増えており、5名体制のチームで対応している。 外部専門会社への出向から戻ってきた担当者などで構成しているが、今後も毎年人数を増やしていかないと追いつかない状況だ。毎年、1.5倍ぐらい案件相談が増えているのでそのニーズに対処する必要がある。 M&Aは、グループの京葉銀キャピタル&コンサルティングが担当している。後継者不在で、会社を買いたい、売りたいという相談がどんどん増えているので、グループと連携して課題を解決している。
―私的整理や経営者保証など新たな動きは
私的整理における第三者支援専門家の取り組みは今後も確実に増えていくと思っている。破産や民事再生など法的整理という選択だけではなく、次に繋がるような事業再生ガイドラインなど私的整理を活用するという柔軟な考え方に変えていく必要がある。 ただ、私的整理では、粉飾決算や経営者の協力が得られないなど対応が難しいケースがある。また、経営者保証ガイドラインで、適正なインセンティブ資産の見極めなど、判断が難しいケースもある。これらをクリアできれば、私的整理が進んでいくのではないか。
―千葉県内の今後の経済情勢
足元では倒産件数も少し増えている。良くなっているところもあるが、もうしばらくは今の状態が続きそうだ。その中で、廃業などの相談があれば早めに支援し、活性化協議会なども活用していく。 千葉県は農業や漁業、工業、商業のバランスが取れており、恵まれたマーケットと考えている。地元の企業への融資をしっかりと継続し、半年、一年ではなく、三年後、五年後、十年後を見据えた潜在的なニーズをしっかりと聞いて、支店と本部が一体となって進めていきたい。 ◇ ◇ ◇ 京葉銀行は、2023年3月に創立80周年を迎えた。2033年の創立90周年に向けた長期ビジョンで、社会価値と経済価値の両立を進める意向だ。県内企業の成長と不芳企業の事業再生など、京葉銀行に求められる役割は大きい。金利のある世界など、経済環境が目まぐるしく変化する時代こそ、京葉銀行の支援アクションへの期待が高まっている。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年11月1日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)