タブー、予算、国境――俳優の伊藤健太郎が越えたい壁とは?“ツキ”を引き寄せるために大事にしている習慣も
トサカ頭のヤンキーを演じた2018年のドラマ『今日から俺は!!』で飛躍のきっかけを掴み、翌年の連続テレビ小説『スカーレット』ではヒロインの息子役に抜擢されて脚光を浴びた伊藤健太郎。最近は希代のヒットメーカー・佐久間宣行が手掛ける過激な“脱法コント”『インシデンツ2』に挑戦し、また新たなキャリアのターニングポイントを迎えている。劇中では“ついてない男”を演じているものの、特別なオファーを引き寄せる実力と“ツキ”を持っているのは間違いない。インタビュー後編は、「脱法=突き抜ける」をテーマに俳優として目指したい領域や、メンタルマネジメント術について話を聞いた。 【写真で見る】26歳の伊藤健太郎の現在を見る
人間臭い行為が映像作品から排除されるのはもったいない
――業界のタブーとされてきた過激なネタを取り上げる“脱法コント”がコンセプトの『インシデンツ』に、2作連続で出演。撮影を通して、伊藤さんの中でエンターテインメントに対する考え方が変わった部分はありますか? 伊藤 そうですね。そもそも前提として、やっぱり昨今の映像制作の現場では、「これはやっちゃダメだよね」という自主的なNG項目がどんどん増えています。たとえば地上波のドラマでは喫煙シーンを避けるようになっていますが、僕としては、タバコを吸うという極めて人間臭い行為が表現の世界から排除されてしまうのは、少しもったいない気がしてしまって……。各方面に配慮しなければいけないので、仕方がないことではありますが。
――伊藤さんがドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』で俳優デビューした約10年前と比べて、自由に表現できる範囲がどんどん狭くなっているということでしょうか。 伊藤 僕が俳優を始めた頃はアウトロー系の作品じゃなくても喫煙シーンがありましたし、刑事ドラマで犯人を追いかけるシーンではシートベルトをしないで車を運転していました。もちろん、ギリギリを攻めることだけが正解ではないと思いますが、刺激的な作品が減ったことが“テレビ離れ”の一つの要因になっているのかもしれない……と考えることもできるわけで。そんな中で、前作の『インシデンツ』に出させてもらったら、やっぱりファンの方々からすごく大きな反響をいただいたんです。タブーを度外視した作品を望んでいる方々が多いことを実感できたのは、僕にとって貴重な収穫になりました。